No.993

題名:機械的なヴィンテージは、ヴィンテージなのか、コショウなのか?
報告者:ログ

 単なる古いものはオールド(Old)となるが、ヴィンテージ(Vintage)は古いがよいものとなる。Vintageの正式な意味は、古い、昔の、年代物の、となるが、古くて価値のあるもの、という意味も含まれる1)。そのため、古着は、古い着る物となるが、ヴィンテージものの衣服となると、相当に価値が高くなる。例えば、1990年代、1950年代の革パッチ付きのデニム リーバイス501 XXに100万円の値がついたこともある2)。日本語では、古着なのに、古デニムなのに、である。その他、ワインでも、ヴィンテージものとして相当に値が張るものも存在する。
 衣服などであれば、破れてもヴィンテージであれば、ヴィンテージ的な価値が生じる。先のリーバイス501 XXも文献2)での画像にもあるように、明らかに破れている。そして、そこの注釈として、「膝のダメージ&リペアや“ヒゲ”と呼ばれる太もも周りのシワ状の色落ちが、なんともワイルドで男らしい雰囲気を醸し出しています。」2)と褒めている。さらに、その後に続けて、「ブーム時は冷ややかだったヴィンテージデニムへの女子目線も、いまや逆に熱視線、つまりヴィンテージがモテるデニムになった。」2)とも記載されている。その通りで、ヴィンテージであれば、逆に破れている方が、モテーる、のである。ヴィンテージでない衣服の破れは、ただの、ビンボーる、となる。そこが難しい。
 一方、機械での破れ、すなわち、コショウ(故障)していれば、そこにはヴィンテージとの言葉はなくなる。ただの産業廃棄物として処理される。そのことから、機械にはヴィンテージ的なイメージが少ないのも無理はない。多くの機械は、年代とともにコショウする確率が高くなる、しかも、部品がないためにリペアもできない。ただし、保存状態もよく、機械としてのコショウがない個体であれば、機械もヴィンテージとして輝きを増す。図のアンプは、1970年初期に販売されていたPioneerのSA-500Aになるが、これが今の時代でも不思議と輝いている。組み合わさるスピーカーはBowers & Wilkins (B&W) CM-5 Bookshelfで、こちらは今から10年前のスピーカーでやや新し目であるものの、SA-500Aの輝きと見事にマッチングしている。
 ただし、コショウしたSA-500Aは産業廃棄物となる。リーバイス501は破れていても(コショウ?)、ヴィンテ

図 Pioneer SA-500AとB&W CM-5 Bookshelf 3)

ージとなる。そこがデニムと違って、少し残念である。

1) https://eow.alc.co.jp/search?q=vintage (閲覧2018.12.5)
2) https://www.leon.jp/fashions/6441 (閲覧2018.12.5)
3) https://www.pinterest.jp/pin/18999629648675037/ (閲覧2018.12.5)

 
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