No.957

題名:夢世界の面白さへの根拠
報告者:ダレナン

 夢には大別して2つの意味がある。ひとつは、自己の人生の将来において、こうなりたい、ああなりたいと願う現実世界での夢であり、それがかなうか、かなわないかは別として、自己の将来性を決める一助ともなる。もうひとつは、睡眠中に脳内で見る夢であり、こちらは、先の夢と違って現実世界に即することもあれば、現実にはない夢世界を見ることもある。その中でも、将来起こりうるであろう現実世界を、先行に見た場合の夢は、予知夢として位置づけられ、科学では未だに証明されてはいないヒトの脳が待つ多面的な能力として取りざたされている。ただし、どちらも日本語では夢であり、英語でもdreamであり、明確に区分けはなされていない。そのことは、暗黙的に、両者の夢は同じものである、ということをも意味しているのかもしれない。
 将来的にはまだ見ぬ睡眠中の夢であっても、やがて現実的にそれが実現化する可能性も、やはり完全に0%とは言えない。そのことは、過去の例において、睡眠中に見た夢で、何らかのひらめきを得て、解決された例も少なくはなかったことが証明している。文献1)にはそのような例がいくつか記載されているが、一例として、インドの数学者であり、解析的理論に大きく貢献した天才数学者にシュリニヴァーサ・ラマヌジャン氏は、彼は大学で系統的な数学教育を受けなかったものの、数学に関して頻繁にヒンズー教の女神、ナーマッカルの夢を見たとされる。さらに、その彼女が複雑な数式を何度も何度も提示してくれたと言われている1)。それが、完全な睡眠中の夢と同じであったかと問うと、ラマヌジャン氏が亡くなった今は不明であるものの、普段から脳内に想起している概念(思念)に関し、何らかの集積を得て、まとめとして夢として現実的な回答を得た可能性も十分にある。ここに、現実世界での織りなした思念が、脳内の夢(睡眠中などの)というフィルターを経て、現実世界での夢として、実現した夢という夢世界の面白さが潜む。
 特に、その睡眠中の夢に関して、アメリカのウィスコンシン大学のFrancesca Siclari博士ら2), 3)の研究によって、夢の内容を覚えている場合は、前頭頭頂部側方に高周波の脳波が見られ、語った夢の内容(例えば、人の顔を覚えていること)と高周波の脳波の出現場所を対比すると、覚醒時の経験と脳内では同じ場所で興奮が見られることが、現在では明らかとなった。さらに、この夢の中枢ともされる頭頂後頭葉に存在する楔前部、帯状束、あるいは、脳梁膨大後部皮質を覚醒中に刺激すると、自分が異世界、あるいは、現実から遊離したような気分になり、夢がその部位を刺激している可能性をも示唆した2), 3)。この部位を”ホットゾーン”として、夢がリコールされ、睡眠中の意識的経験3) 、言い換えると、夢はただの夢でなくなり、より目覚めた後も現実性を帯びやすい。現実性を帯びやすいということは、ひとえに、その夢を見たがゆえに、現実では考えられない、まさに現実世界での夢世界となって活きる。例えば、会ったこともない、むろん、話したこともない人物とともに、現実性を帯びた夢を見たならば、その内容がどうであれ、目覚めた現実でも夢世界として思念に残る。まさに、図のような感じで、この図から目覚めた後も不思議と幸せに浸れる。あの人に逢いたい気持ちも、実はこれを起点に目覚めているのかもしれない。

図 夢見る時4)

1) http://xn--kssp41aoia.com/rekishi/ (閲覧2018.11.2)
2) http://aasj.jp/news/watch/6775 (閲覧2018.11.2)
3) Siclari, F., et al.: The neural correlates of dreaming. Nat Neurosci 20: 872-878, 2017.

 
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