No.925

題名:愛のおいしさを噛みしめる現象
報告者:ダレナン

 本報告書は、基本的にNo.924の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 先の報告書にて、愛、に関する心理学的な研究の概観から、その愛ゆえのエクスタシーを共有できた。ここでは、愛ゆえのおいしさについて調査したい。
 ヒトは恋愛すると、愛のおいしさを噛みしめる。チョコレート好きな人が、高級チョコレートを噛みしめる、肉好きな人がステーキを噛みしめる、その至福な時と、それは大差ないのであろうか。
 こと恋愛に関しては、面白い研究がある。報告書のNo.378でも示したが、理化学研究所の上級研究員である高橋佳代博士らによって、ヒトの恋愛に伴う脳の活動を解析され、内側眼窩前頭野のドーパミン神経の活性化が、主観的な恋愛感情の高まりと相関することが明らかとなった1), 2)。その内側眼窩前頭野は報酬系に関わる領域であることから、ヒトの恋愛感情には報酬系と同じ神経基盤が関与していることが示唆されている1), 2)。まさに、愛ゆえのエクスタシーともいえる現象かもしれない。
 一方、おいしいものを食べると、口からの味覚情報は、大脳皮質の第一次味覚野に送られ、その第一次味覚野からの情報は2つのルートに分かれて脳内を流れることが分かっている3)。その1つは、前頭連合野の第二次味覚野へ行くルート、もう1つは、扁桃体へ行くルートである3)。そして、先の恋愛と同じく、報酬系の神経基盤でもってドーパミンが放出され、「おいしいものはもっと食べたい」という欲求へと結びつく。適度な欲求であれば、結果として、山本隆博士曰く、「おいしいものの摂取に際して、…中略…、脳細胞は活性化され、生き生きと元気になる。おいしいものを規則正しく適量食べることは健康の源である。」3)となる。
 ここでこうして愛と食の現象を併記すると、実は、愛のおいしさも、食のおいしさと、脳内的には変わりない神経基盤によって興奮を味わう。すなわち、先の山本隆博士の言葉を借りると、「おいしい愛の摂取に際して、脳細胞は活性化され、生き生きと元気になる。おいしい愛を規則正しく適量食べることは健康の源である。」とも言い換えることもできるのかもしれない。
 ただし、欲張りすぎると、「おいしい愛はもっと食べたい」と留まりなく欲求が噴出する。その留まりない欲求は、「もっとくれ、もっとくれ」となり、食べすぎると、愛的にもジャイアント級のパンダとなってしまうおそれがある(図)。愛らしくても、かわいくても、そこは注意しないといけない。

図 ジャンアントパンダの愛らしい食事4)

1) Takahashi, K., et al.: Imaging the passionate stage of romantic love by dopamine dynamics. Frontiers in Human Neuroscience, doi: 10.3389/fnhum.2015.00191. 2015.
2) file:///C:/Users/Toshiyasu%20Inumaru/Downloads/press_150514.pdf (閲覧2018.10.3)
3) 山本隆: おいしさと食行動における脳内物質の役割. 顎機能誌 18: 107-114, 2012.
4) https://publicdomainq.net/giant-panda-steak-0023943/ (閲覧2018.10.3)

 
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