No.818

題名:エレーヌ・グルナック氏が語るマルグリッド・デュラスの魅力
報告者:ダレナン

 本報告書は、基本的にNo.817の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 先の報告書にて、小説家のマルグリッド・デュラスの研究者でもある関未玲博士による「マルグリット・デュラス―映画制作からエクリチュールへ」1)というテクストから画像を取り上げ、それに対する筆者の解釈を通して、一つのエクリチュール(報告書)を完成させた。そのきっかけを与えてくれたのは、もちろんマルグリッド・デュラスに他ならない。一方、関博士だけでなく、デュラスはもう一つの出会いを与えてくれた。それが、エレーヌ・グルナック氏である。しかしながら、グルナック氏はすでに2010年に癌にてこの世を去り、「エレーヌ・グルナックの思い出」2)とするブログに記されているエクリチュールは、過去のグルナック氏の手記でもあった。しかしながら、グルナック氏に関わった多くの人によって、今もなおブログが更新されていることにふと気づいた。
 エレーヌ・グルナック氏の生前の活動は文献3)に詳しいが、母国フランスから、日本文学の研究のために日本に訪れ 4)、最終的には日本の永住ビザを所得した。そして、フランス語、フランス文学の授業、時には慶応大学や上智大学の教鞭にも立ったことがある方でもある。手記の一つにはNo.816で示したマルグリッド・デュラスの「ロル V. シュタインの歓喜」に対する日記として、「ロル・V・シュタインの書かれなかった日記」5)を記述しているが、これはデュラスも納得せざるを得ない内容となっている。そのことから、グルナック氏のデュラスの小説に対する読み解き方が、非常にレベルの高いものであったことが分かる。先のブログの内容によれば、グルナック氏は霊的な能力も高かったようで、デュラスの「ロル V. シュタインの歓喜」の執筆時の感情にもきっとシンクロできたのであろう。日本に来た頃のエレナック氏の写真を図に示す。天国のエレナック氏に「素晴らしいシンクロです」と、ここで伝えたい。

図 エレーヌ・グルナック氏4)

 エレーヌ・グルナック氏によれば、マルグリッド・デュラスの小説の魅力は、普通の恋物語でない点であることを指摘する6)。そして、そこで語られるのは、互いの性的魅力に溺れてそのままむなしくなってしまいたいと願う二人の物語であり、神が創りたもうた人間という二つの存在が一つに結びつくときの、あのつかのまの閃光、言葉ではあらわしようのないあの荒々しさを強調すること、として表現している6)。この点については筆者も納得する。難解な作家、退屈ですらあると、世評では言われても6)、デュラスが紡ぎ出したエクリチュールは、人が持つ永遠のトポスを豊かなイマージュでもって描き出している。

1) http://pretexte-jean-jacques-rousseau.org/?page=pg03c_170610004402/ (閲覧2018.6.5)
2) http://helenegrnac.blogspot.com/ (閲覧2018.6.5)
3) http://helenegrnac.blogspot.com/2011/01/blog-post_9822.html (閲覧2018.6.5)
4) http://helenegrnac.blogspot.com/2011/01/blog-post_05.html (閲覧2018.6.5)
5) http://helenegrnac.blogspot.com/2011/01/blog-post_28.html (閲覧2018.6.5)
6) http://helenegrnac.blogspot.com/2011/01/blog-post_19.html (閲覧2018.6.5)

 
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