No.813

題名:茹でガエル現象を見直す
報告者:ダレナン

 鍋に水がはってあり、その中にカエルが泳いでいる。そして、その鍋を火にかけ、鍋の中の水の温度を徐々に上げていき、その水をお湯に変化させる。ただし、その温度の変化は、あくまでも時間的にはわずかの変化のために、カエルは水の温度が上がっていることに気づかないこととしよう。すると、カエルはどうなるのであろうか。水の温度が上がっていることに気づかずに、悠然と泳いでいると、温度が上がって気づいた時にはすでに時遅く、カエルは徐々に湯だる(死ぬ)。そして茹でガエルとなる。これが俗にいう茹でガエル現象の印象である。ビジネス界ではよく用いられる比喩の一つであり、慣れたぬるま湯に浸かりすぎて、気づいた時には手遅れになっているという意味合いが込められている1)。
 先に述べたのはあくまでも印象であるが、一般的な茹でガエル現象の正式な説明は、「カエルをいきなり、熱湯に入れるとすぐに飛び出すが、冷たい水に入れて徐々に水温を上げていくと、温度の変化に気づかず、やがて熱い湯の中で死んでいく」、こととされる1, 2)。ただし、いくらカエルといえども、熱湯に入れると飛び出す前に湯だってしまい、冷たい水にいれると冷た過ぎて飛び出す行動があることは容易に考えられる。文献3)にあるように、茹でガエル現象のそもそもは、生理学者のFriedrich Leopold Goltz博士による脳を切除したカエルを用いた実験の1869年の論文「Contributions to knowledge on functions of the nervous system in frogs」に基づく1)。それによれば、2匹のカエルを用意し、一方は熱湯に入れ、もう一方は緩やかに昇温する冷水に入れる。すると、前者は直ちに飛び跳ね脱出・生存するのに対し、後者は水温の上昇を知覚できずに死亡した、とされる1)。しかしながら、脳が切除されていない場合とは異なるのかもしれない。そして、それから13年後の1882年に生物学者のWilliam Thompson Sedgwick博士の論文「On the variation of reflex excitability in the frog induced by changes of temperature」によって、温度が毎秒0.002℃の割合で上昇した場合、カエルは移動しないで2時間半の終わりに死んでいることが判明した、ことが認められた4)。このことから、ごくわずかの温度上昇では、カエルはやはり環境の変化には気づかずに、慣れたぬるま湯に浸かりすぎて、ぬるま湯が茹であがる温度にまで上がってしまうこともあるのかもしれない。その一方、近年では動物学者Mark Hutchinson博士による多くの種類のカエルの臨界最高温度調査の調査から、1分間に水の温度を華氏2度ずつ上げると、温度が上がるごとにカエルはますます活発となり、温度の上がった水から逃れようとし、蓋が空いていたり、器が小さければ逃げることが判明している1), 2)。いずれにせよ、やや大きめの鍋で、徐々に、ごく徐々に起こり得た温度の変化は、やはり意識にのぼらない可能性がある。しかも、鍋の中に、好物の餌があり、楽しい状況の環境下であれば(図)、意識はよりそちらに向き、なおさら温度の変化には気づかないであろう。

図 茹でガエル現象の前段階5)

1) https://jinjibu.jp/keyword/detl/737/ (閲覧2018.5.31)
2) https://ja.wikipedia.org/wiki/茹でガエル (閲覧2018.5.31)
3) http://tokyodesignroom.com/blog-posts/page/98/ (閲覧2018.5.31)
4) https://en.wikipedia.org/wiki/Boiling_frog (閲覧2018.5.31)
5) https://www.quora.com/It-is-said-that-frogs-can-be-killed-by-warm-water-but-not-boiling-water-Is-it-true-Have-you-ever-done-something-to-test-and-verify-it (閲覧2018.5.31)

 
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