No.778

題名:ランダム表示のウィキペディアを利用したらせん円相
報告者:ダレナン

 本報告書は、基本的にNo.777の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 先の報告書にてメッセージにおける送信と受信について考え、それを禅の思想である円相と絡めて検討した。ここでは、円相の意味をさらに読み解くとともに、それを応用した技術を別の技術的な視点から眺めたい。
 円相は禅における書画のひとつで、円形を一筆で描いたものである。それを、猪子寿之氏を代表とするチームラボ1)によって、現代の新たな視点を提示している。ちなみに、チームラボは、アート・サイエンス・テクノロジー・クリエイティビティの境界を曖昧にしながら活動しているウルトラテクノロジスト集団であり、これからますますの期待が高まるデジタルコンテンツ制作会社である2, 3)。そのチームラボによって円相を空間に描き、それによって空間上で静止しているが、視点が動くことによって、円に見える瞬間が生まれる「空書」を提案している4)。一方、茶道において掛物(かけもの)は床の間や壁に掛けられる書や絵画が通例であり、その事始めは茶の開祖である村田珠光であるとされる5)。一般的には馴染みのない名の村田珠光であるが、茶の湯の大家である千利休の師匠にもあたる人であるといえば分かりやすいであろうか。この珠光が、一休宗純に参禅して墨蹟を授かったものを表装して四畳半に飾ったことが、禅語の掛け軸の始まりとされる5)。これをもって、見て楽しむことから、見て深く考えることへの転換が生じた5)。それゆえに、禅語の掛け軸には、「一期一会」、「和敬静寂」、「日々是好日」など5)のよく知られる深い意味をもった文字が刻まれる。円相はこの意味をさらに進め、語ではなく、円という究極の姿で悟りや真理を象徴的に表現した5)。円は、欠けることも、余すところもない完全な円満であり、始まりもなければ終わりもない、無限の宇宙を示す5)。そのため、仏性の本来の姿を形象化したものとも考えられ、円相は茶道の、あるいは、禅の究極のお題、ともされる5)。ただし、円相は実は一平面にはおさまらない。チームラボにあるように視点を動かして、円に見せる「空書」でも成り立ち、あるいは、円の繰り返しを立体化して、らせんでもあると言える。これを単純に示すと、図のようになる。繰り返し現れる円は、まさに様々なメッセージを人生のらせんの如く様相を表す。そのサイクルは

図 らせん円相

12年か、9年かは個人の判断によるが、そのらせんを登るためには、No.777でも示したように円相に関する機能(己?、知識?、柔軟性?)を鍛えなければならない。例えば、それは、ランダム表示のウィキペディア6)を利用することも、自らの円相の視点を変える一助ともなる。

1) https://www.teamlab.art/jp/ (閲覧2018.4.16)
2) https://www.teamlab.art/jp/about/ (閲覧2018.4.16)
3) https://ja.wikipedia.org/wiki/チームラボ (閲覧2018.4.16)
4) https://www.teamlab.art/jp/w/enso/ (閲覧2018.4.16)
5) https://wabi-sabi.info/archives/128 (閲覧2018.4.16)
6) http://ja.wikipedia.org/wiki/Special:Randompage (閲覧2018.4.16)

 
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