No.506

題名:電子回路におけるディスクリートから集積化の流れ
報告者:ログ

 電子回路は一般的には抵抗器、コンデンサ、コイル、ダイオード、トランジスタなどの部品から構成される。トランジスタに関しては、かつては真空管が担っていたが、現在で真空管を使用する回路は、オーディオや楽器のアンプなどの特殊な場合にのみ存在し、一般的な電子回路ではもはや使われることがなくなった。そのため、一般的な回路であれば、やはり上記の部品が主だったものとなる。それ以上に、上記の部品といえども、現在では集積回路も発達し、部品一つ一つで構成する回路(ディスクリート回路1))もほとんど見られなくなり、ディスクリート回路を利用するのも、やはりオーディオなどの分野のみとなった。ここで、現在の情報機器の代表であるスマホ(スマートフォン)のiPhoneの内部構成を覗くと、図のようになる。図はiPhone4Sの内部であるが、このiPhone4SはApple社の設立者であるステーブ・ジョブズ氏がなくなる直前に発表されたモデルであるために3)、4Sはfor Steveとも言われ、今でも愛されているスマホの一台となる。そのジョブズ氏であるが、Appleの設計においてケース内部にも美的にこだわりを持ち、初期のMacintosh(マッキントッシュ)では

図 iPhone4Sの内部構造2)

本体ケースの内側にはマックチーム関係者のサインが浮き彫りにされているのは有名な話であり4)、iPhone4や4Sでも内部のこだわりは同様であろう。しかしながら、このiPhone4Sの内部を見ても、所謂部品一つ一つははっきりと分かりにくい状態である。ケース本体やバッテリーを除いて電子回路部品として見てとれるのは、ディアルコアプロセッサーのA5と書かれた部品だけとなる。そのA5の内部には、細かく見れば集積化された抵抗器、コンデンサ、トランジスタなどがあるも、もはやその内部構造は肉眼では見ることができない。つとオーディオに関しては、現在でも報告書のNo.173にもあるようにMark LevinsonのアンプのN°383内部において部品一つ一つが確認できる。ちなみに、オーディオメーカーにもMcIntosh(マッキントッシュ)があるが、AppleのMacintoshはこれと重ならないように、aを付けたのも有名な話である。このようにして、電子回路は時代の流れから、真空管からトランジスタ、ディスクリートから集積化と大きく様変わりし、機器の小型化も容易になった。もし仮に、50年以上もの前の技術でiPhone4Sを作るとしたら、そのサイズは家一軒か、もしくは、ビル一棟ほどのサイズとなるに違いないであろう。

1) http://www.yokohama-otowa-seisakusho.jp/TOP/sonota/sonota%20Discrete.htm (閲覧2017.6.12)
2) http://www.rapidrepair.com/Merchant2/merchant.mvc?Screen=cp-iphone-4s (閲覧2017.6.12)
3) https://ja.wikipedia.org/wiki/IPhone_4S (閲覧2017.6.12)
4) http://appletechlab.jp/blog-entry-56.html (閲覧2017.6.12)

 
pdfをダウンロードする


地底たる謎の研究室のサイトでも、テキスト版をご確認いただけます。ここをクリックすると記事の題名でサイト内を容易に検索できます。



...その他の研究報告書もどうぞ