No.461

題名:人間にとって普遍的な「いいね」を有するコンテンツ
報告者:ナンカイン

 人は生まれてから、成長する過程において様々な夢を追う。しかしながら、その夢が実際に追えるかどうかは、その本人による。ただし、夢は追えども、現実は甘くはない。そこに夢と現実とのギャップが生じる。
 一方、近年では、Youtuberなる用語も当たり前となった。小さい子供でもYoutubeから受ける影響は無視できないぐらいにまで技術が発展し、子供の将来の夢もYoutuberとなりたいと夢見る子供が増えた。そのYoutuberへの夢が、その子供の将来において実現できるか否かは別として、時代の流れとして避けられない現代の象徴的な夢でもある。少なくともインターネットやスマホ(スマートフォン)が当たり前となった今では、その象徴的な夢を否定すること自体、愚かとなるに違いない。仮にその夢を否定する側にいるとすれば、否定する側の時代の遅れ(お年寄?)をも意味するのかもしれない。
 そのような今の時代背景において、インターネットを介して、単純な個人の発想から、かつては高額な機器がなければできなかった創造的な活動に関しても、その敷居を下げることができた。いろいろな創造的活動(創作)が容易く実施でき、この創作への敷居の低さは、かつての技術レベルから考えると、非常に喜ばしいことである。多額なくとも、個人の創作レベルが高ければ、インターネットを通じて自らのコンテンツを世にそれを問うことが出来る。さらに、自ら創作したコンテンツが、世間から「いいね」と認めてくれた場合、一時的といえども、個人の夢が達成できたとも言えるのかもしれない。しかしながら、その創作したコンテンツを常に高いクオリティのレベルで維持する(常に「いいね」とされる)ことが、実際の夢をより現実とするためには必要となる。そこには、創作に対する並々ならぬ努力、高い意欲、および独創性が問われる。
 並々ならぬ努力、高い意欲、および独創性を持つきっかけとして、子供の頃からクオリティの高いコンテンツに接する機会が得られることが、今の時代では大事となるに違いない。しかしながら、コンテンツそのものはその時代を反映していることもあり、どのようなコンテンツが高いクオリティとされるのかは、先の時代に至るまでは明らかではない。10年、20年も先になると、現在、クオリティが高いと思われているコンテンツでさえも、価値があるかは難しいところではある。ただし、音楽的な観点から想像するに、曲には永遠の名曲として認識されている曲もあるであろう(報告書No.455も参照)。ゆえに、何年経とうとも、人間である以上、普遍的な「いいね」を有するコンテンツがあることには間違いない。
 それでは、人間にとって普遍的な「いいね」を有するコンテンツとは何か?
 そこで、これを人類の文化的な発祥にまで遡って考えてみると、図から何かを得られるかもしれない。図はエジプトの砂漠にある8000年以上もの前に描かれた洞窟(The Cave of Beasts)の壁画であるが、ここに人間にとって普遍的な「いいね」を有する

AP86N7 Rock art, Mestekawi Cave, Gilf Kebir, Egypt’s Western desert.. Image shot 2006. Exact date unknown.

図 The Cave of Beastsの壁画1)

コンテンツの要素が、見方によっては垣間得ることができるのかもしれない。しかしながら、古代の人がどのような経緯でこれを絵にしたかは、今もって理由も明らかではない1)。ゆえに、人間にとって普遍的な「いいね」を探すことは、実は難しいことも明らかでもある。

1) http://metro.co.uk/2016/03/01/these-8000-year-old-hand-prints-in-cave-painting-werent-made-by-humans-scientist-claims-5727861/ (閲覧2017.4.16)

 
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