No.373

題名:スマートフォンの利用率上昇に伴うネット上のコンテンツの価値観
報告者:ナンカイン

 先頃の報道1)にて、ネットにおけるパーソナルコンピューター(PC)から利用が、スマートフォン(SP)からの利用よりも逆転するということが示された。報道が発表されたのは5月26日付けであったために、図のデータ上ではまだ青線(PC)と橙線(SP)が交わっていない。そのため、その時は逆転はまだしていなかったであろう微妙なラインといえる。しかしながら、現在は12月である。図からはすでに6カ月が経過しているため、図の各線の推移を見れば、すでに逆転している可能性が十分に高い。すなわち、今現在は、すでに多くの人は、PCにてネットにアクセスするよりも、SPにてアクセスする人が明らかに増加したといえる。

図 インターネットのPCからと、SPからの利用推移1)

 このようにして、従来とネットの取り扱い方も大きく様変わりした。そのため、モバイルファーストという用語も生まれることとなり、今ではそれが当たり前となった。情報を利用する側にすれば、PCであろうが、SPであろうが情報の取り扱いの違いに注目することはないが、情報を提供する側にとっては、PCからのアクセスかSPからのアクセスかで、情報を提供するデザインの、さらに、情報を利用する側への情報の捉え方が大きく変わることを意識しなければならない事態となった。これを言い換えれば、モバイルファーストの実践は、SPでの情報の扱いやすさを、情報を利用する側の意識を鑑みながら、そのデザインをSPに優先・最適化することになるであろう。それは、レスポンシブウェブデザイン(複数の異なる画面サイズをウェブサイト表示の判断基準にし、ページのレイアウト・デザインを柔軟に調整する2))だけではなく、情報を利用する側への情報の捉え方を完全に理解しないと今後は取り残されることを暗示している。
 一方、ネット上には文章、写真、動画を含めて様々なコンテンツがあるが、SPからのアクセスが増えるということは、SPからの投稿特有のコンテンツもますます増えることをも意味している。報告書のNo.56でも指摘されているが、簡単にマウスにてクリック(意思決定)できる現象を「ポチる」といえようが、SPでのコンテンツの投稿の特徴には、実は「ポチり」やすい現象がある。その背景として簡単に投稿出来るように各種アプリも工夫されていることに他ならないが、SPからの投稿特有のコンテンツには、内容がなくとも「ポチる」だけで完了できてしまうことも多い。そのため、投稿する側の精査がなされず、価値のないコンテンツも多くなりがちである。むろん価値のある投稿もSPからなされるであろうが、逆に価値のない投稿も増えることは、今後の流れとして避けられない。そのため、コンテンツを提供する側の意識として、PCであろうともSPであろうとも情報を利用する側に対して価値のあるコンテンツを提供できることが求められるであろう。さらに情報を得る側も、その情報が価値があるものなのかを見極める知識を持てることも今後、重要となるに違いない。
 情報は財産ではある(No.43)。しかし、価値のなかった情報は、やがてゴミ以下、時には公害ともなりうるかもしれない。自戒の念を込めて、ここに記したい。

1) http://www.netratings.co.jp/news_release/2015/05/Newsrelease20150526.html (閲覧2016.12.16)
2) https://liginc.co.jp/designer/archives/6154 (閲覧2016.12.16)

 
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