No.351

題名:論理と感情における三角形バランスの関係性
報告者:ダレナン

 人は感情的な生き物である。いくら「自分は論理的な人間だ」と他人に誇ったところで、意思決定の判断はすでに感情に基づいていることが科学的に示されている1)。これは、脳における前頭葉と感情を結び付ける眼窩前頭皮質が切除された人は、完全な論理的な思考の人になるのではなく、感情が欠損した決断のできない人となることからも明らかである1)。すなわち、これを言い換えると、感情が理性的判断の下地を作り2)、論理は決して感情の上位互換(機能や性能で上位に位置する製品が、同じ系列の下位の製品の仕様や機能を包含していること3)。ここでは製品を脳内の働きと置き替える)ではないことが分かる。ちなみに、脳内における論理と感情の情報の処理部位を調べても、論理的な働き、云わば理性は先の前頭葉に位置する前頭前野が主に働くことでなされるものの4)、感情はより脳の奥にある扁桃体が主に働き、例えば、蛇を見て無意識に感じる感情的な危険性に対する反応は、この扁桃体がつかさどる4)。これらの関係性をあえて図示すると、論理と感情の間には図の様な三角形バランスを表すことが出来る。

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図 論理と感情における三角形バランスの関係性

図の左は、やや感情的な人、図の右は、やや論理的な人と見なすことが出来ようが、いずれにせよベースには脳の奥にある扁桃体がなす感情があるため、三角形における論理と感情の面積比が変化しようとも、三角形の関係性は人が動物である以上、変えることができない。ただし、論理は感情の上に位置するために、上位互換としての完全な互換性はなくとも、論理から感情への信号の行き来は可能である。論理がうまく感情をコントロールすることが出来れば、理性的な人となり、論理と感情の面積比は、右図に近似する。そこで問題となるのが、前頭前野が如何に扁桃体をコントロールできるか、である。報告書のNo.327やNo.179にあるイライラ感やピリピリする原因も、このコントロール如何により、三角形の面積比として帰結できる。ただし、その一方で先に挙げた報告書に示したように、しあわせを願う値や度合いは、論理ではなく、感情が牛耳っている。すなわち、あまりにも理論武装された人は、クールな人と揶揄され、「あの人は感情のない人だ」ということにもなりかねない。そのような人は、別段に眼窩前頭皮質が切除された訳ではないが、扁桃体の働き(しあわせ度)が良くも悪くも抑制された状態とみなしうるのかもしれない。結局は、図の三角形バランスが人として大事であろう。

1) http://wired.jp/2014/03/17/neuroscience-decision-making-explained-30-seconds/ (閲覧2016.11.23)
2) http://www.lifehacker.jp/2014/03/140318decision_making.html (閲覧2016.11.23)
3) http://e-words.jp/w/上位互換.html (閲覧2016.11.23)
4) http://style.nikkei.com/article/DGXNASFK0203P_S3A201C1000000 (閲覧2016.11.23)

 
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