題名:今日のお題は、「さかいゆうの初期の名曲「SHIBUYA NIGHT」のジャパニーズ・グルーブ感について」
報告者:ダレナン
(No.2943の続き)
さかいゆうの「SHIBUYA NIGHT」は、彼の音楽的センスが凝縮されたような、極めて洗練された“ジャパニーズ・グルーヴ”の好例です。この楽曲のグルーヴ感について語るには、以下の3点に注目するのがポイントです。
1. 日本的メロウネスと都会的洗練の融合
「SHIBUYA NIGHT」は、和製R&Bやシティポップの系譜にありつつ、さかいゆう独特のファルセットとコード感で、都会の夜の情緒を見事に描いています。
特に渋谷という雑多で華やかな場所をテーマにしていながら、音は非常にソウルフルでメロウ。これは、「東京的ノスタルジー」とでも呼びたくなるような、ジャパニーズ・グルーヴの特徴です。
2. グルーヴの源はジャズ/R&B的リズム感
ドラムとベースはタイトで、いわゆる“跳ねる”感じのグルーヴがあります。これはブラック・ミュージックに通じる要素でありながら、過剰にアメリカナイズされておらず、むしろ日本人のリズム感に自然に馴染むように設計されています。
鍵盤のカッティングや間の取り方に、スティーヴィー・ワンダーの影響を感じさせるところもあり、そこにさかいゆうのジャズ的素養が重なって、グルーヴが滑らかに波打っています。
3. 日本語詞とメロディの噛み合い
英語的な発音やノリに頼らず、日本語のリズムに合わせてメロディが自然に流れている点も、日本的グルーヴの要です。日本語のイントネーションを壊さず、しかしグルーヴは損なわない。その絶妙なバランス感覚は、さかいゆうだからこそ成せる技。
「SHIBUYA NIGHT」は、さかいゆうがもつ“和製ソウル職人”としての資質を、都会の夜の情景とともに提示した名曲。
この曲を聴くと、渋谷のネオンが少しスロウに、そして暖かく感じられてくる——それこそがジャパニーズ・グルーヴの魔法と言えるでしょう。