No.2940

題名:今日のお題は、「My Little Loverの曲「DESTINY」についておもうたけを語る」
報告者:ダレナン

(No.2939の続き)
My Little Loverの「DESTINY」は、1998年にリリースされた名曲であり、今も多くの人の記憶に残っている楽曲です。この曲を語るとき、まず真っ先に思い浮かぶのは、その切実なメロディと、akkoの透明感のある歌声が織りなす、静かで深い情感です。

1. タイトルがすべてを物語っている
「DESTINY(運命)」という単語は、言葉としては抽象的だけれど、曲を聴けば「これは確かに“運命”の歌だ」と誰もが感じる。出会いと別れ、生まれてしまった気持ち、そしてそれがどうにもならないと知るときの静かな絶望。そういった「人がどうしても抗えないもの」が、この一言に凝縮されています。

2. 歌詞の奥ゆかしい絶望
この曲の歌詞は、直接的に「好き」「辛い」「苦しい」とは叫ばない。むしろ、淡々と語るようにして進んでいくからこそ、その裏にあるどうしようもない哀しみが胸に迫る。たとえば、「信じることに疲れて 少しだけ眠った」。この一文に込められた感情は、もう言葉にできない種類の痛みです。愛するということの終わりを、受け入れてしまったときの諦め。それをこんなにも静かに歌えるのは、My Little Loverにしかできない芸当です。

3. メロディの“消えゆく光”感
小林武史のプロデュースによるサウンドは、幻想的で、どこか夢の中にいるよう。ピアノやストリングスが淡く降り積もるように広がり、クライマックスに向かって少しずつ盛り上がっていく展開が、まるで心の奥底から湧き上がる感情をそのまま音にしたようです。

4. “90年代”という時代の象徴
この曲が流れていた頃の空気感。インターネットはまだ今のように当たり前ではなく、人と人の距離感はもっと曖昧で、ロマンティックでした。「DESTINY」は、そういう「人と人との関係性」が一番繊細だった時代の雰囲気を閉じ込めたタイムカプセルのような存在でもあります。

5. 聴くたびに“自分の思い出”になる曲
この曲のすごいところは、聴くたびに違う感情を引き出されるところです。若いころに聴いたときはただの失恋ソングだったかもしれない。でも、大人になってから聴くと「人生の中でどうしても変えられなかったこと」「誰かとすれ違ってしまったこと」――そうした個人の“運命”の一断面が見えてくる。

「DESTINY」は、感情を押しつける曲ではなくて、聴く人それぞれが“自分の運命”と向き合うための鏡のような存在だと思います。

 
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