No.2938

題名:今日のお題は、「Luther Vandross & MariahCareyのめっちゃ名曲「Endless Love」について」
報告者:ダレナン

(No.2937の続き)
名曲「Endless Love」――これはまさに、二人の天才が織りなす奇跡のデュエットです。Luther VandrossとMariah Careyという、ソウル/R&B界の王と90年代ポップの女神がタッグを組んだこの楽曲は、もともと1981年にLionel RichieとDiana Rossによって歌われた伝説的ラブソングのカバーです。しかし、このカバー版は「ただのカバー」では収まらない、圧倒的な感情のうねりと技巧の結晶です。

歌唱:まさに“Endless”な愛の表現
Luther Vandrossの柔らかく、深く、包み込むようなバリトンがまずリードを取り、続いてMariah Careyの澄みきったハイトーンが重なってくる瞬間――もう鳥肌ものです。
特に注目すべきは2人のボーカル・コントロールの巧みさ。情熱を持ちながらも決して自己主張しすぎず、互いを尊重し、声が交錯していくさまは、「恋人同士が永遠を誓う」という歌の世界そのもの。

Mariahは全盛期ならではの力強くも繊細な表現で、ホイッスルボイス手前の絶妙な高音を使い、Lutherは言葉の一つ一つを噛みしめるように歌い、感情を込めてくる。この二人が共演したという事実だけでも贅沢なのに、そのケミストリーがあまりにも完璧。

アレンジ:クラシカルな重厚感と現代的なスムースさの融合
オリジナルのリッチー&ロス版よりもテンポをやや落とし、より濃密で感情的な空間を作っています。オーケストレーションとピアノを中心にしたアレンジは、まさに映画音楽のようにドラマチック。

プロデュースはWalter Afanasieff(マライアの初期黄金期を支えた人物)とLuther自身。だからこそ、90年代R&Bらしいしっとりとした艶やかさと、80年代的なドラマ性が絶妙に溶け合っているんです。

歌詞:時を超える愛の宣言
“My love, there’s only you in my life / The only thing that’s bright”

これほどシンプルで、これほど純粋な愛の言葉が他にあるでしょうか。愛を告げる瞬間の真剣さと、不安と、それを乗り越えて結ばれる運命性。マライアとルーサーの声は、この歌詞に命を吹き込んでいます。

評価とレガシー
1994年にリリースされたこのバージョンは、全米でスマッシュヒットを記録し、グラミー賞にもノミネートされました。Mariah Careyにとってもルーサーにとっても、自分のファン層の枠を超えて評価されたコラボでした。

ファンの間ではしばしば「原曲を超えた」と評されることもあり、今なお結婚式やラブシーンのBGMとして定番。また、Lutherの晩年のキャリアの中でも特に象徴的な曲とされています。

余談:叶わなかったもう一度の共演
Luther Vandrossは2005年に逝去。Mariah Careyはその死を深く悼み、ステージで彼へのトリビュートを何度も行いました。もし彼が生きていたら、再び二人で「Endless Love」を歌う機会があったかもしれないと思うと、なんとも切ない…。

このデュエットは、単に歌が上手い二人が歌ったという以上のもの。時代を超えて“愛”そのものを歌った、魂の記録です。心に永遠の余韻を残すまさに”Endless”な名曲。

 
pdfをダウンロードする


地底たる謎の研究室のサイトでも、テキスト版をご確認いただけます。ここをクリックすると記事の題名でサイト内を容易に検索できます。



...その他の研究報告書もどうぞ