No.2837

題名:今日のお題は、「Brian Eno「By This River」に見る革新性とその影響 Part2」
報告者:ダレナン

(No.2836の続き)
4. スタジオ技術と偶然性の活用
Brian Enoはスタジオを単なる録音の場ではなく、「音楽を生成する装置」として利用することに長けていた。「By This River」も、エレクトロニクスやプロダクションの面で独特の響きを持つ。特に、偶然性や即興性を取り入れる彼のアプローチは、楽曲の持つ浮遊感や静謐な美しさに貢献している。

この楽曲は、Enoが関わっていたドイツのクラウトロック(Clusterとの共作)とも関連があり、電子音楽的なアプローチが感じられるものの、過度に人工的にならず、あくまで人間的な感情を湛えた響きを維持している。

5. 音楽の「聴かれ方」への影響
「By This River」は、リスナーに対して「積極的に聴く」というよりも、「音楽とともに静かに佇む」ような聴き方を促す。これは、従来のロックやポップスが「娯楽」や「感情の高揚」を目的としたのに対し、より瞑想的で内省的な音楽体験を生み出した点で画期的だった。

このようなアプローチは、後のポストロック、アンビエントポップ、エクスペリメンタルなシンガーソングライターたち(例えばSigur Rós、Bon Iver、James Blakeなど)に影響を与えたと考えられる。

結論:音楽の枠組みを拡張した「By This River」
「By This River」は、従来のロックやポップスの枠組みを超えた音楽的アプローチを提示し、静寂の美しさ、時間の流れの曖昧さ、ミニマリズムの表現力を探求した作品である。その結果、ポップスとアンビエントの境界を曖昧にし、音楽の「聴かれ方」や「感じられ方」に新たな視点を提供した。

この楽曲は、単なる音楽ではなく、静寂と共存し、感情と風景を結びつける芸術作品とも言える。Brian Enoの音楽的探求の中でも特に重要な位置を占め、今なお多くのリスナーに深い余韻を残している。

 アルバム『Before and After Science』はむかしでいうレコード(LP)のA面とB面でがらりと雰囲気がかわるアルバムでした。たしかにそこにはBrian Enoちゃんの”過去”と”これから”のようないでたちで、まさにBefore あんど Afterですね。この後にアンビエントの創始者として音楽界をどんどんと変革させてゆく。まさに天才。現代のモーツアルトのような人だと僕は思っております。
 何気に有名なところでは
「Windows95起動音」
これ、Brian Enoちゃんの曲です。
 今日のお題は、「Brian Eno「By This River」に見る革新性とその影響 Part2」です。

 
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