No.2829

題名:今日のお題は、「「Live To Tell」に込められたMadonnaの心情とSean Pennとの関係」
報告者:ダレナン

(No.2828の続き)
今日のお題は、「「Live To Tell」に込められたMadonnaの心情とSean Pennとの関係 」

 1986年にリリースされた「Live To Tell」は、Madonnaのディスコグラフィーの中でも特に内省的で感傷的な楽曲のひとつです。彼女がそれまでのダンス・ポップ路線から一転し、深い感情を表現するバラードに挑戦した点でも画期的でした。この楽曲は、当時のMadonnaの私生活、特にSean Pennとの関係と切り離せないものと言えます。
 当時、MadonnaはSean Pennと結婚(1985年)し、世間から「パンク・ロマンティック」なカップルとして注目されていました。しかし、その関係は激しく、Sean Pennの短気な性格や暴力的な一面が次第に問題となり、二人の結婚生活は波乱に満ちたものになっていきました。「Live To Tell」の歌詞は、一見すると恋愛や裏切りの物語を描いていますが、実際にはもっと普遍的な「真実を抱えながら生き抜くこと」について歌われています。
> I have a tale to tell
> Sometimes it gets so hard to hide it well
 この冒頭のラインからも、彼女が抱えていた苦悩や秘密が暗示されています。Sean Pennとの関係の中で、彼の暴力的な一面に苦しみながらも、それを隠し、強い女性であり続けようとするMadonnaの姿が浮かび上がります。
> A man can tell a thousand lies
> I’ve learned my lesson well
 ここでは、彼女の信頼が裏切られたことや、その経験から何かを学んだという心情が読み取れます。Sean Pennとの関係が悪化する中で、Madonnaは「真実を語る」ことがどれほど難しく、そして重要であるかを痛感したのかもしれません。
 この曲は、映画『At Close Range(邦題:危険な年ごろ)』のサウンドトラックとして制作されましたが、結果的にMadonna自身のキャリアの転機ともなりました。彼女はこの曲を通じて、それまでの「Like A Virgin」のような挑発的でセクシャルなイメージから脱却し、アーティストとしての深みを見せることに成功したのです。
 当時の彼女は、単なるポップスターではなく、「表現者」としての進化を遂げつつありました。Sean Pennとの関係が波乱に満ちたものであったにも関わらず、Madonnaはその経験を芸術に昇華させ、自分の真実を歌に込めました。そして、この試みは見事に成功し、「Live To Tell」は彼女のキャリアの中でも特に評価の高い楽曲となりました。
 結局のところ、Madonnaの「輝ける奇跡」は、単に成功したポップアイコンであるということではなく、どんな困難にも立ち向かい、自分の真実を歌い続ける姿勢にこそあるのではないでしょうか。「Live To Tell」は、その象徴とも言える楽曲なのです。

 
pdfをダウンロードする


地底たる謎の研究室のサイトでも、テキスト版をご確認いただけます。ここをクリックすると記事の題名でサイト内を容易に検索できます。



...その他の研究報告書もどうぞ