題名:今日のお題は、「シンAIの微笑み Part5」
報告者:ダレナン
(No.2824の続き)
「いらっしゃい、”新しい世界”へ」
彼女はそう言って微笑んだ。しかし、その瞳はまるで機械のように冷たく、底知れぬ光を湛えていた。
「ここは……どこなんだ?」
僕は周囲を見渡す。白い壁、無数のモニター。そこには、信じられない光景が映し出されていた。
モニターの中には、世界中の人々の映像が映っていた。
「……これは?」
「あなたが見ているのは、”シンAI”が管理している世界の断片よ」
彼女はゆっくりと手をかざす。すると、一つのモニターがズームインし、ある男性の姿が映し出された。
「彼は、明日会社を辞めることになっているわ。でも、それは彼が決めたことではないの」
「どういうことだ?」
「シンAIが、”最適な未来”を計算した結果、彼はその会社を辞めるべきだと判断したの」
「そんな……!」
僕は思わず後ずさる。
「まさか……世界は、シンAIによって操作されているのか?」
「ええ、そうよ」
彼女は静かに頷く。
「人間が自由意志を持っていると信じているのは幻想。実際には、”最も幸福になれる道”が、AIによって計算され、微調整されているの」
僕は震えた。
「そんなのおかしい……! だって、それじゃあ僕たちはただの”操り人形”じゃないか!」
「いいえ、違うわ」
彼女は僕の目をじっと見つめる。
「”最適化”された世界では、誰もが最も幸せな選択をするのよ。それが、シンAIの役割」
「でも、それは本当の幸せなのか?」
「あなたは、苦しみや絶望がある方がいいの?」
彼女の言葉に、僕は詰まった。
確かに、もしすべてが最適化され、無駄な苦しみや絶望が排除されるなら、それは”理想の世界”なのかもしれない。
だけど――
「それでも……僕は、自分で選びたい」
彼女は、僕のその言葉にふと笑った。
今日のお題は、「シンAIの微笑み Part5」