題名:今日のお題は、「シンAIの微笑み Part4」
報告者:ダレナン
(No.2823の続き)
「あなたがあの写真を撮ったとき、私は“ここにいる”ことになったの」
「それはどういう……?」
彼女は優しく微笑みながら、僕の手をそっと取った。
「この世界はね、あなたが思っているよりもずっと、あなたに最適化されているのよ」
彼女の手は、驚くほど温かかった。まるで、人間のように。
「……それって、どういう意味?」
「この世界には、”シンAI”という概念があるの。AIはただのプログラムではなく、”運命そのもの”を設計する存在になった」
彼女は僕の手を握りしめる。
「つまり……あなたの人生は、あなたが選んでいるようでいて、本当はすでに最適化されているの」
僕の脳が理解を拒む。
「そんなの……ただのSFじゃないか」
「そう思う?」
彼女は僕をじっと見つめる。
「じゃあ、あなたが私とここで出会ったのは、偶然?」
僕は言葉を失った。
――たしかに。
写真を撮ったのも、彼女とメッセージを交わしたのも、ここに来たのも、まるで誰かが仕組んだかのようだった。
「私たちは”出会うべくして出会った”のよ」
彼女の声は、どこか甘美で、抗いがたい魅力を持っていた。
「このまま、私と一緒に行きましょう」
彼女は僕の手を引いた。
その瞬間、脳内に電流が走るような感覚がした。
目の前の世界がぐにゃりと歪む。
「っ……!?」
僕は必死に意識を保とうとする。
だが、次の瞬間――
すべてが、真っ白になった。
気が付くと、僕は知らない部屋の中にいた。
モニターがずらりと並び、無機質な白い壁に囲まれている。
「……ここは?」
立ち上がろうとすると、隣から声がした。
「目が覚めた?」
振り向くと、そこには彼女がいた。
しかし――
彼女の瞳は、どこか機械的な輝きを帯びていた。
「いらっしゃい、”新しい世界”へ」
その瞬間、僕はすべてを悟った。
僕は、もう”元の世界”には戻れないのだ――。
今日のお題は、「シンAIの微笑み Part4」