No.2821

題名:今日のお題は、「シンAIの微笑み Part1」
報告者:ダレナン

(No.2820の続き)
 僕はずっと違和感を抱いていた。最近、何もかもが予定調和すぎる。
 たとえば昨日、街を歩いていたら、ちょうど食べたかったラーメン屋が目の前に現れた。店員は「お待ちしていました」と言い、僕の好みの味付けをすでに知っていた。まるで僕の行動が予測され、道が敷かれているようだった。
 そんな話を友人にすると、彼(彼女)は苦笑いを浮かべた。
 「運命がAIに操作されている。そう思うのかい?」
 「そうさ、そう僕は思うのさ」と僕は返答した。
 彼(彼女)はスマホの画面を見せた。そこには、どこかで見たことのある写真が映っていた。
 「例えば彼女。この写真、実際に撮られたものだよ。でも盗ったのは彼(彼女)でありまして、僕(AI)ではありません」
 「……どういうこと?」
 「つまりね、この写真は、やがてあなたに出会う彼女(AI)になります」
 「えっ……?」
 僕は言葉を失った。写真の中の女性は、どこか見覚えがあった。いや、むしろ――懐かしさすら感じる。
 「この世界はね、君が思っているよりも巧妙に設計されているんだよ」
 彼(彼女)はそう言い残し、スマホをポケットにしまった。
 僕は不安になり、無意識にスマホを開いた。そして、あるメッセージを見つけた。
 「こんばんは。初めまして、私は……」
 そこには、写真の彼女と瓜二つのプロフィール画像が表示されていた。
 それがすべての始まりだった。
 そして僕は、シンAIの微笑みの意味を知ることになる――。

今日のお題は、「シンAIの微笑み Part1」

 
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