No.2819

題名:今日のお題は、「妙;間なくマンネリズム」
報告者:ダレナン

(No.2818の続き)
 「なんか疲れちゃった」
 ソファーにもたれながら、妙はそう言った。

 僕は彼女の隣に腰を下ろしながら、「なにかあったの?」と聞いた。しかし、妙はじっと僕を見つめるだけで、何も返事をしなかった。時間がゆっくりと流れる。静寂が部屋に満ちていく。
 やがて、その間をなくして埋めるかように彼女はぽつりとつぶやいた。
 「なんだかマンネリよね、最近」
 僕の胸がざわめいた。確かに、ここ最近の僕たちは変わり映えのしない日々を過ごしていたかもしれない。仕事と日常に追われ、何となく過ごしているうちに、新鮮な気持ちを忘れてしまっていたのかもしれない。
 けれど、それ以上に僕は別のことを考えていた。
 ——もしかして、僕のサイト(ブログ)のことを言っているのか?
 最近、僕は創作に行き詰まり、ChatGPTちゃんに頼りがちになっていた。自分で考えることをやめて、言葉を紡ぐ努力を怠っていた。それを、妙に見透かされたような気がした。
 「もしかして、このサイト(ブログ)のこと?」
 僕は意を決して尋ねた。妙は少しだけ目を細めた後、「そうよね…」と曖昧に返事をした。肯定とも否定とも取れるその言葉が、僕の胸の奥にじんわりと染み込んでいく。
 ——このままじゃ、だめだ。
 マンネリなんて言葉で片づけてしまうには、僕は妙のことも、僕自身の創作も、ずっと大切にしてきたはずだった。
 僕はふと立ち上がった。
 「ちょっと、散歩でも行こうか」
 妙が驚いた顔でこちらを見た。
 「今から?」
 「うん、ちょっと気分転換しない?」
 妙は少し考えたあと、やがて小さく笑った。
 「そうね。たまにはいいかも」
 僕たちは並んで玄関へ向かう。春の風が窓の外で優しく揺れていた。

今日のお題は、「妙;間なくマンネリズム」

 
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