題名:今日のお題は、「Forgotten Love」
報告者:ダレナン
(No.2802の続き)
僕には忘れられない三人の女性がいる。
一人目は高校時代、人生で初めて付き合った彼女だった。お互いに不器用で、何もかもが初めてだった。手をつなぐだけで緊張し、キスをするだけで心臓が爆発しそうになった。けれど、大学進学を機に自然と別れてしまった。今では思い出の中で、甘酸っぱい青春の一ページとして残っている。
二人目は大学時代、心の底から熱烈に恋をした彼女だ。彼女の笑顔、声、仕草のすべてに夢中になった。何時間でも話していられるし、一緒にいるだけで幸せだった。だけど、その恋はうまくいかなかった。僕が未熟だったせいか、彼女の求めるものに応えられなかった。結局、僕は彼女の心をつなぎとめることができず、ただ思い出として胸の奥にしまうことになった。
そして三人目の彼女。社会人三年目になった時、会社の庶務課にいた彼女と関係を持った。彼女は美しく、落ち着いた雰囲気を持つ大人の女性だった。軽い気持ちで始まった関係だったが、僕たちは夜ごと求め合い、相性の良さを感じていた。だが、その夜、彼女は僕の腕の中で静かに言った。
「実は、わたし来月結婚するの」
瞬間、頭が真っ白になった。言葉が出なかった。彼女が婚約していたことも知らなかったし、ましてや一か月後に結婚を控えているなんて思いもしなかった。
「……何で、僕と?」
そう問いかけると、彼女はふっと笑った。
「最後に、自由になりたかったのかもしれない」
翌日に昨晩のことを聞き直してみると、窓の外から僕に視線を移した彼女の目は、どこか遠くを見ていた。
それから、彼女は結婚退職して二度と僕と会うことはなかった。彼女の結婚式の日、僕は街のカフェでコーヒーを飲みながら、ぼんやりと空を眺めていたことを覚えている。
忘れられない三人の女性。その中でも、彼女の存在は特に心に深く刻まれている。彼女は今、どこでどんな人生を歩んでいるのだろうか。
今日のお題は、「Forgotten Love」