題名:今日のお題は、「野心と恋の狭間でPart5」
報告者:ダレナン
(No.2793の続き)
「達也くん」
社長の低い声が響く。その表情は、今まで僕に向けていた温厚なものではなく、鋭く本質を見抜くような眼光だった。
「君は、何を目的に美月に近づいた?」
背筋が凍りついた。
一瞬、何を言えばいいのかわからなかった。だが、僕の沈黙がすでに答えになっていたのかもしれない。
「……すべて、見抜かれていたのか」
社長は深く息をつき、デスクに肘をついた。
「いいかね、達也くん。私はね、会社を任せる人間を探していたんだ。しかし、それは単に能力がある人間ではなく……本当に信頼できる人間だ」
社長の言葉に、僕は何かを悟った。
美月との出会いも、恋に落ちたと錯覚した瞬間も、すべては社長の計画の一部だったのか?
僕の野心が試されたのではない。僕という人間そのものが、最初から見極められていたのだ。
「お前の能力は認める。だが、この会社は、お前のような人間に渡すつもりはない」
社長の言葉は、僕にとって最大の敗北宣言だった。
そして、美月は静かに僕を見つめ、最後にこう言った。
今日のお題は、「野心と恋の狭間でPart5」