題名:今日のお題は、「野心と恋の狭間でPart4」
報告者:ダレナン
(No.2792の続き)
美月は、桜の花びらを指で挟み、静かに微笑んだ。その笑顔が、やけに冷たく見える。
「文字通りの意味よ。私はずっと、父の作った会社に縛られて生きてきた。けれど、本当にこの会社が私の人生そのものなのかって、ずっと疑問だったの」
僕は動揺を隠しながら、美月の言葉を待った。
「だからね、達也さん。もし、あなたが本当に私を愛してくれているなら……私が会社を継がなくても、変わらず一緒にいてくれる?」
心臓が嫌な音を立てた。
これは、試されている。
美月は、僕の野心を見抜いている……いや、最初からすべてをわかっていたのか?
僕の心の奥底を覗き込むような彼女の瞳。そこには、揺るぎない確信があった。
「……美月。君が会社を捨てても、俺の気持ちは変わらないよ」
僕はそう言うしかなかった。言葉を絞り出すように、しかし決して疑われぬように。
美月は、ふっと目を細めた。
「……そう」
その一言には、何かが込められていた。僕を信じたのか、あるいは、やはり試していたのか。
その日の夜、僕は社長に呼び出された。
社長室に入ると、そこには社長と……美月がいた。
今日のお題は、「野心と恋の狭間でPart4」