No.2786

題名:今日のお題は、「夜のメロディー」
報告者:ダレナン

(No.2785の続き)
深夜、静かな部屋に微かな電子音が響く。君の指がキーボードを叩くたびに、音の粒が闇の中に浮かび上がる。まるで夜の帳をそっと染めるように、旋律が生まれては消えていく。

デスクの端には君の愛猫がいる。小さく丸くなりながらも、ときどき君の指の動きを目で追い、たまにキーボードの鍵盤にそっと前足を乗せる。君は苦笑しながら「今の音、ありかも」と呟く。

僕はベッドに寝転びながら、その光景をじっと眺めていた。暗闇の中、君の顔が光に照らされている。真剣なまなざし、微かに動く唇、そして音楽に没頭する姿——すべてが美しかった。

君の夢は、きっと遠くにある。でも、今こうして、夜ごとに音を紡いでいる君を見ていると、いつかその夢が現実になる気がする。

「どう?」君が振り向いて尋ねる。

僕は少しだけ目を閉じて、さっきまで響いていた音を思い出す。どこか寂しくて、それでいて温かいメロディーだった。君の心が、そのまま音になったみたいに。

「いい曲だね」と答えると、君は少しだけ笑って「ありがと」と小さく呟いた。

その隣で、猫が小さく喉を鳴らす。君の夢が叶う未来を、僕と猫は静かに願いながら——。

今日のお題は、「夜のメロディー」

 
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