No.2775

題名:今日のお題は、「Limousineの「Lila」を曲として使用した映画「Vanishing Waves(邦題:ナイトメアは欲情する)」に関して」
報告者:ダレナン

(No.2774の続き)
『Vanishing Waves(邦題:ナイトメアは欲情する)』は、リトアニアのクリエイター、クリスティナ・ボイチューテが監督した、エロティックかつ哲学的なSF映画です。脳科学の実験を題材に、他者の意識にアクセスすることで展開される官能的で幻想的なストーリーが特徴的です。
この映画のサウンドトラックには、フランスのバンドLimousineの「Lila」が使用されており、そのドリーミーでミニマルなインストゥルメンタルは、映画の雰囲気と絶妙にマッチしています。

「Lila」の持つ印象と映画との調和
「Lila」は、ゆったりとしたピアノとギターのアルペジオが印象的で、静謐な空間を作り出す楽曲です。メロディはシンプルながらも、どこか切なさを伴い、聴く者の内面にじんわりと染み込んでくるような感覚があります。時間が緩やかに流れるようなトーンがあり、映画の中の夢幻的なシーンにピッタリと寄り添っています。
映画自体が、人間の深層意識を探求するような実験的な作品であるため、「Lila」のようなアンビエントな楽曲が加わることで、現実と幻想の境界が曖昧になる感覚がより強調されます。特に、映画の官能的なシーンや、主人公が女性の意識の中で彼女に惹かれていく過程では、「Lila」の柔らかな旋律が観る者の感情を深く引き込む要素となっています。

映画レビュー:感覚を揺さぶる映像体験
『Vanishing Waves』は、視覚的な美しさとサイケデリックな演出が際立つ作品です。ストーリーは、脳科学の実験によって無意識の領域へと踏み込む科学者ルーカスが、意識を共有した女性・オーロラの記憶と欲望の中で徐々に感情を揺さぶられていくというもの。セリフの少なさや、象徴的なイメージが多用される点が特徴で、観る者の解釈に委ねられる部分も多く、芸術的な映画としての完成度が高いです。
また、映画のエロティシズムは単なる官能描写ではなく、記憶や欲望、愛の根源に迫るための手段として描かれています。この点で、音楽の選択が極めて重要であり、「Lila」のような控えめながらも心を揺さぶる楽曲が、映画のテーマを補完しています。

総評
『Vanishing Waves』は、単なるSF映画やラブストーリーではなく、音楽・映像・感情が絡み合った体験型の作品です。「Lila」が流れるシーンでは、視覚と聴覚がシンクロし、観る者の感情を内側から溶かしていくような感覚に陥ります。夢と現実、欲望と理性の狭間を彷徨うような映画体験を求めるなら、ぜひチェックしてみてほしい作品です。

今日のお題は、「Limousineの「Lila」を曲として使用した映画「Vanishing Waves(邦題:ナイトメアは欲情する)」に関して」

 
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