No.2759

題名:今日のお題は、「彼女の名は、RK」
報告者:ダレナン

(No.2758の続き)
 彼女の名からRK。
 正確な名前はわからない。礼子か、それとも理沙だったか。RKゆえに礼子か梨花のどちらかだった気もする(笑)。でも確信はない。
 僕はその夜、かなり酔っていた。仕事のストレスを酒で流し込むように飲み、気づけばバーの片隅で彼女と向かい合っていた。
暗い照明の中、琥珀色のグラスを傾けながら微笑む彼女は、どこか退屈そうで、それでいて挑発的だった。
 「ずいぶん飲んでるのね」
 「酔ってないと言えば、嘘になるな」
 僕がそう答えると、彼女はくすっと笑い、グラスの中の氷を転がした。その仕草すら、妙に艶っぽく感じたのを覚えている。
 いつからだったろう。僕たちは、まるで前から知り合いだったかのように、自然と体を寄せ合っていた。言葉よりも指先が、吐息が、互いの距離を縮めていった。
 そして、僕たちは一つのベッドの上で溶け合った。
 ──白いシーツの上、彼女の肌は月明かりを受けて透き通るように美しかった。触れるたびに小さく震えるその身体は、酔いで霞む僕の記憶の中でも鮮明に残っている。
 しかし、朝になり、彼女は静かに部屋を出て行った。
 「またね」と言ったかどうかすら、覚えていない。ただ、残されたのは、枕元に置かれたルージュの痕のついたグラスと、微かに香る甘い余韻。
 彼女の名は、RK。
 それ以上は何もわからない。
 でも、不思議と後悔はなかった。名前が思い出せないことさえ、彼女との夜をより幻想的にしているような気がしたからだ。
 あの夜の熱だけを、僕は今も覚えている。

今日のお題は、「彼女の名は、RK」

 
pdfをダウンロードする


地底たる謎の研究室のサイトでも、テキスト版をご確認いただけます。ここをクリックすると記事の題名でサイト内を容易に検索できます。



...その他の研究報告書もどうぞ