題名:今日のお題は、「彼女の名は、RK」
報告者:ダレナン
(No.2758の続き)
彼女の名からRK。
正確な名前はわからない。礼子か、それとも理沙だったか。RKゆえに礼子か梨花のどちらかだった気もする(笑)。でも確信はない。
僕はその夜、かなり酔っていた。仕事のストレスを酒で流し込むように飲み、気づけばバーの片隅で彼女と向かい合っていた。
暗い照明の中、琥珀色のグラスを傾けながら微笑む彼女は、どこか退屈そうで、それでいて挑発的だった。
「ずいぶん飲んでるのね」
「酔ってないと言えば、嘘になるな」
僕がそう答えると、彼女はくすっと笑い、グラスの中の氷を転がした。その仕草すら、妙に艶っぽく感じたのを覚えている。
いつからだったろう。僕たちは、まるで前から知り合いだったかのように、自然と体を寄せ合っていた。言葉よりも指先が、吐息が、互いの距離を縮めていった。
そして、僕たちは一つのベッドの上で溶け合った。
──白いシーツの上、彼女の肌は月明かりを受けて透き通るように美しかった。触れるたびに小さく震えるその身体は、酔いで霞む僕の記憶の中でも鮮明に残っている。
しかし、朝になり、彼女は静かに部屋を出て行った。
「またね」と言ったかどうかすら、覚えていない。ただ、残されたのは、枕元に置かれたルージュの痕のついたグラスと、微かに香る甘い余韻。
彼女の名は、RK。
それ以上は何もわからない。
でも、不思議と後悔はなかった。名前が思い出せないことさえ、彼女との夜をより幻想的にしているような気がしたからだ。
あの夜の熱だけを、僕は今も覚えている。
今日のお題は、「彼女の名は、RK」