題名:今日のお題は、「渋滞の先にあるもの」
報告者:ダレナン
(No.2719の続き)
車の流れが止まった。前の車のテールランプが赤く輝き、周囲の車も動く気配がない。ため息をつきながらハンドルに手を置き、ふと助手席を見ると、彼女が窓の外をぼんやり眺めていた。
頬に夕陽のオレンジ色が映えて、なんだかいつもより綺麗に見える。つい、まじまじと彼女を見つめてしまった。
「……え、何?」
気づいた彼女がこちらを向く。
「いや、ほっぺに愛がついてる」
冗談まじりにそう言うと、彼女は一瞬きょとんとした後、吹き出すように笑った。
「何それ、ばっかじゃないの(笑)」
そう言いながらも、彼女の表情はどこか嬉しそうだった。
渋滞の先には、楽しみにしていた温泉地が待っている。だけど、こうして何気ないやりとりを交わしている時間も、悪くない。むしろ、この一瞬一瞬が、幸せのかたまりみたいに思える。
僕らの車は、また次第にゆっくりと動き出した。
もうすぐ、目的地にたどり着く。
温泉地という名の、幸せの中へと。
今日のお題は、「渋滞の先にあるもの」