No.2701

題名:今日のお題は、「僕の一生の宝物」
報告者:ダレナン

(No.2700の続き)
「子どもができたみたい」。

そんな嫁の言葉を聞いたその日、僕の心は満天の喜びで溢れた。うれしくてたまらず、その足で電気屋に向かい、前から欲しかったデジタル一眼レフカメラを手に入れた。これで彼女のお腹にいる子の記録を毎日毎日撮っていこう。そして、生まれた子に「これがママのお腹にいた頃の写真だよ」と言って見せてあげよう。

最初は、どこか恥ずかしそうにしていた嫁も、毎日のように撮られているうちに深く気にせず、どこか自然な表情をしてくれるようになった。一方で、僕自身もカメラに慣れ、その手にしっくりなじんでくる感覚を覚えていった。どんな瞬間も逃さないようになり、家庭の専属カメラマンとしての自覚が涌みあげてきた。

そんな日々の中、とある朝、僕は彼女の顔を撮った。ただ、その一瞬は今までとは違っていた。それは、最高の一枚だと自信を持って言える素晴らしい写真だった。

昼の光が窓から流れ込み、わずかに笑む嫁の顔に優しく彩りを添えている。まるで母性そのものを語っているかのような愛おしい表情。そして、やがて彼女のお腹の中から新しい命が誕生する。

その写真をみていると、これから元気に生まれてくる子の顔も想像できた。この光の中で、君はママの顔を見ながら微笑む。そんな姿が目に浮かぶ。

そして、この写真は、今でも僕の一生の宝物になっている。

今日のお題は、「僕の一生の宝物」

 
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