No.26

題名:人前で話すコツはあるのか?
報告者:ログ

 人前で、特に大勢の人やまったく見ず知らずの人の前で話す場合は、多かれ少なかれ緊張を要する。中には全く緊張しないという人もいるようであるが、それは特殊な例であろう。少なくとも9割以上の人は、人前で話す機会があれば、それなりの緊張を伴うことが多い。最高のパフォーマンスを要求され、かつ、日々ステージに立つ機会の多いベテランのアクターやミュージシャンであっても、いつなんどきでも緊張はなくならないとの話もよく聞く。そのような人前で話す際の緊張に対して、実際はどのように対処すればよいのであろうか?
 いくつかの方法があるが、よく知られているものとして、聴衆を大根に見立て、それに対して話しかけていると思うことである、と言われている。しかしながら、これはあまりお勧めできない。なぜなら、実際に大根に対して話しかけてみれば分かる。その時は、まったく緊張することがない。すなわち、人前で話すという意識があるからこそ、緊張が伴うのであって、人を大根に見立てることは話す側の意識としてまったく無意味である。
 ここで、人前で話すコツとして、ネット上の情報を探ると、以下の6つのコツを見つけることができた1)。

1.まずは、正しい視点をもつ
2.実際の会場で練習する
3.喉を潤し、体を動かし、トイレを忘れない
4.深呼吸をして、シンプルな物体を思い浮かべる
5.身体と声をウォームアップ
6.バカになれ

実は、どのコツも最もな内容ではある。しかしながら、実践的、あるいは、実務的に応用可能なのは、1、3、5ぐらいである。2に関しては、できる場合とできない場合がある。4の場合は前述した大根とそう大差はない。6に関してはそれをうまくできる人なら、緊張する対応には長けている。
 この1については、「想定される最悪の事態は何か、自分に問いかけてみる」ことを挙げている。確かに緊張する背景には失敗するかもしれない、失敗したくないという意識が働いており、この考え方は間違いではない。ただし、失敗する背景のさらに背景には、練習不足や準備不足というネガティブな意識があることが多々ある。一流のスポーツマンが重要な場面で最高のパフォーマンスを発揮できる背景には、体に覚えこまれた無意識の練習に次ぐ練習効果があることは、誰もが周知している。このことから、練習不足や準備不足を払しょくし、かつ、体(頭)に刻み込まれた知識体系を無意識的に話の中に引き出せるような日頃のトレーニングがやはり重要なのであろう。3については、緊張した場合にトイレに行きたくなる生理現象に従えばよい。かつ、適度に体を温めることが準備体操的な意味合いとなるであろう。5については、基本的に先のトイレと同じで、最高の話す生体機能を引き出すことに目的がある。これらのことから、実は人前で話すコツは、あるようで、ないのかもしれない。結局は「ローマは一日にしてならず」、自分を信じる(自信)しかない。

1) http://www.lifehacker.jp/2015/01/150121public_speaking.html (閲覧2015.8.29)

 
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