No.2399

題名:今日のお題は、「時の河を渡る船」
報告者:ダレナン

(No.2398の続き)
 そうして「リフレインが叫んでいる」を効きながら、僕はユーミンしていた。そのMVは昭和の薫がする。そしてあの当時をいやおうなしに想い出させる。ユーミンが精神にすごく効いている(笑)。

 僕は高校時分は数学が得意だった。ルーマニア大使館の経理をしていた曾祖父の遺伝的な影響もあったのかもしれないが、大学ではすんなり数学科を選んだ。
 ただ、そこに入学して1年でやめた。あまりにも周りにできるやつが多くて、僕との数学レベルの差に驚いて意気消ち〇こしたことを覚えている。途中で休学し、退学。そして、映画が好きだったこともあって翌年には別の美術系の大学に入りなおした。あまり絵の技術とは関係なかった映像科だったので当時は、その学科の倍率も低かったこともあってうまくそこにもぐりこめた(笑)。
 もちろん入学してすぐに映画研に所属した。そこの1っこ上の先輩が薫さんだった。ただ、僕は入りなおしたたちなので年齢的には薫さんと実質は同い年だったといえる。
 薫さんとの大きな接点は、ちょうど薫さんが4年生の時の卒業制作に関わったことになると思う。それまでは普通に話していた仲が、僕たちが恋人へと急速に変化したのもこのころだった。

 そうして今度は、「リフレインが叫んでいる」を効きながら、僕は井上な陽水していた(笑)。

「どうしてどうしてぼくたちはー でああってしまーぁったーのだろー。にどとあーえなくなるならー」

 ここで僕は人生の転換期を考える。
 もし僕があのまま数学科にいたらどうなっていたのだろうか?
 もし映像学科に落ちていたらどうなっていたのだろうか? 

 薫さんには出逢えなかった。そう、今は二度と薫さんと会えなくても。

「リフレインが かなしげーに さけんでるー」

「どうしてどうしてでーきーるだけ やさしくしなかーったのだろー」

 今でも覚えている。車を走らせたバックミラーにずっと君が立っていたことを。小雨がふる中をずっと立っていたことを。きっと泣いてたんだと思う。そして、僕はあの時、逃げたかったんだ。自分の弱さに、自分の惨めさに。自分のふがいなさに。今でも謝りたい。あの時、ごめんね。
 そうだ。今日のお題は、「時の河を渡る船」にしよう。
「もう いかないでー そばにいてー」。BY wの悲劇。池田エライザちゃんバージョンやでー。

 
pdfをダウンロードする


地底たる謎の研究室のサイトでも、テキスト版をご確認いただけます。ここをクリックすると記事の題名でサイト内を容易に検索できます。



...その他の研究報告書もどうぞ