No.2148

題名:彼女の足跡
報告者:ダレナン

 本報告書は、基本的にNo.2147の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 「ブルーラグーン」で未亡人サラさんが亡くなり、画面が切り替わってリチャード:ブライアン・クラウズ、リリー:ミラ・ジョヴォヴィッチが出始める頃、寝る時間を惜しんで僕は寝ることにした。ここでタイミングがいい。このまま続けてみることもできるが、どうも目がしょぼしょぼしている。
 アラウンド・フォーティにはもはや徹夜は無理なんだ。かつてのように、起きては寝て、起きては寝て、そしてその間、性欲を満たすべくセフレと行為に及んでいたあの頃は、もはや幻のような出来事だった。
僕はもうすっかり失せている。
 希望も、夢も、そして性欲も。
(舞衣子、ごめんよ。今の僕には何だか何かが欠けているんだ)
 そして、そのまま自然に寝落ちすると、どうやら僕はまたも夢を見た。莉紗(本名:大貫沙耶)の夢だった。

 僕(役名:鏡原和希)は雨でぬれたうっそうとした林の中の道をバイクで走っている。周りの木々は緑色が映え、僕がその道を通るたびにそれは揺れている。
 道のりは長い。その道中、僕は莉紗に逢うこと、逢えることを想っている。

 そのころ、平田莉紗は海岸にいる。彼女は恥ずかしそうにはにかんでいる。
 海岸には太陽の光が降り注ぎ、きらきらと波間を光らせている。彼女はその光を背景に一層輝いている。それは僕が一番によく知っている莉紗の笑顔だ。

 少し道が乾き始め、うっそうとした林の中を僕はすり抜ける場面になる。ただ、先ほど降った雨のせいなのか、あたりに霧が充満し始めている。
 
 彼女はサングラスをかける。
 あまりにもきらきらと輝いている波間の光の強烈な反射を遮るため。
 そして、それから彼女は波打ち際に近づく。
 途中、海の砂をてでかき集め、僕に「ほら、きれいな砂」と言って差し出し、それを指の間から少しづつ落とす。何かの音楽に合わせるように踊りながら、彼女はおどける。
 彼女は髪のはしをくるくると回し、笑顔で僕に告げる。

 「和希ぃ。私って、和希と敦司(本名:夏目創)と、どっちを愛していると思う?」

 僕にはその質問に何も答えられない。莉紗はその後、サンダルを脱いで、裸足になり海水に足をつける。波打ち際には彼女の足跡が残される。くっきりと。

 
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