No.2080

題名:だ・か・ら・よ・ん・で・し・ま・う
報告者:ダレナン

 本報告書は、基本的に No.2079の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 このようにして偏った愛、すなわち偏愛な状況の輩でも、①情景描写、②心理描写、③会話(セリフ)が巧妙なら、文章が頭に運ばれる。運河のように。それを僕は知った。
 確かに翻訳文ではあまり凝った文体はなく、もとの文体は凝っていても、読みやすい翻訳は、①、②、③が見事に満たされていることも多い。村上春樹さんがいうところの、翻訳文だ。だから、読む側は情景が浮かびつつ、主人公の心情に没入し、そのセリフが自分がはいたように感じる瞬間が時として生まれ、文の虜になる。

 だ・か・ら・よ・ん・で・し・ま・う

 そして、感動して、「おもろかったなー、これ、おもろかったなー、これ以上の小説はないだろうな…。きっと。いや、待てよ。同じ作者なら、もっとおもれーのがあるんやないの。よーし、次、また、買ったるでー」 と同じ作者のKindleを探す。
 ここで、ありがたいことに、Kindleちゃんはこれおすすめですよ、と勧めてくる。この小説を買った人はこちらも読んでます的な流れでおすすめする。そりゃー、ジェフ、勝っちゃうで、やっぱKindleで。
 もちろん、他社の本購入、正確には電子ブック購入のシステムは利用している。このジャンルは、こっちで、このジャンルはこっちでムフフ的な感じに。でもな、やっぱ、もっとも大御所はKindleちゃんなんや。だって、扱う量が多いもん。だから、お布施しちゃうんだ、ジェフに。
 …、随分とジェフとの出会いの物語から脱線してるな。
 まっ、しゃーないな。勝者と、歯医者だもんな。
 
 僕はジェニファーと連れ立ってインターネットの黎明期にある盛大なパーティにでかけた。パーティといえども、それは、皆新たな事業の拡大に我先にと売り込むパーティでもあった。そこには、重要な取引先や潜在的な顧客がいるパーティだった。
 僕とともにインター・アドベンチャーの創業者だったトニーもいつも以上にめかしこんではいる。そうではあるものの、彼のシャツの襟首にはじっとりと汗が滲んで、いささか変色していた。トニーからすれば、僕もきっとそうだったろう。お互いこの先の大いなるアメリカンドリームを抱いていても、お互いの心は、小心ものだった。潜在的にアジア人という引け目を感じていたからかもしれない。ただ、こういう場面で、いつもジェニファーの存在が大きかった。
 パーティでは彼女は少し紫がかったノースリーブのドレスに身を託し、さっそうと歩く姿は東洋の神秘のように思われた。僕にとってはできすぎた恋人だった。多くの商談において彼女の存在は欠かせず、今になって思えば、あの当時の僕らの生長は、ジェニファーという養分があってこそ、であった。
 トニーは僕よりも堂々としている。が、英語に訛りがあり、それを鼻で笑うような人も少なくなかった。僕も日本人でたどたどしい英語は、相手に誤解を招きやすかった。でも、その状況を察知してうまくことを運ぶのがジェニファーだった。多くの人は彼女の雰囲気に巻き込まれ、僕たちの存在を一段上に引き上げてくれた。

 
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