No.2077

題名:イエス・キリストの微笑み
報告者:ダレナン

 本報告書は、基本的に No.2076の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 かつて僕がAmazon.comを利用してたのは、そうアメリカに駐在していたときのことだ。
 世界はまだ広くOpenであり、新型コロナウイルスによるパンデミックが起こる前の時代のこと。それはビフォー・コロナとでもいうハグが当たり前の世界だった。一目惚れし、そしてハグをきっかけに愛を育んだ恋人ジェニファーと過ごしていた時代のこと。
 僕は仕事に、そして愛にと奔走し、そして僕自分が大きく成長することを感じていたあの時代。
 大きく憧れていたアメリカンドリーム時代。
 確か、その当時は、Amazon.comは書籍しか扱っていなかった。仕事上、ジェフ・ベソスのことも知っていた。彼も若かった。僕も若かった。目指す目的は違っても、ビジネスでの成功はともに夢見ていた。
 それ、本当か…?
 本当だとも…。
 まぁ、嘘か真かは別として、黎明期からAmazonの利便性はビジネス的にも非常に優れていたことは確かだ。Amazonはいずれ大きく成長するであろうこともたやすく予想できた。
 ヘッジファンドのDE Shaw&Coに働いていた彼は、上司に「インターネットで本を売りたい」ことを伝え、社内ベンチャーを申し出た。しかし、その申し出は断られ、最終的にジェフ(ここから彼のことを名のジェフとあえて呼びたい)は辞職願いを出す決断をする。一方、DE Shaw&Coでのジェフは、わずか4年で上級副社長に昇進したやりての人でもあった。当時の上司は、彼のこの言葉に対してこう伝えたと人づてに聞いている。
「アイデアは面白いが、君のような成功者が挑戦する必要はない。失うものの少ない者が挑むことだ。会社にとどまれ。」
 上司は彼を説得した。しかし、当時のジェフの心はすでに決まっていたはずだ。
「80歳になったとき、(起業して失敗して)30歳の時に多額の給料を失ったことを悔やむだろうか。ノー。(今のまま安泰の会社員を続け)起業しなかったことを悔やむだろうか。イエス。」

 イエス・キリストはそうしてジェフに微笑んだ(ここまでのいくつかの文章は1)より引用中)。その後の彼の活躍は僕でなくとも誰もが知っている。でも、確か、ジェフには特別な宗教観はなかったかもしれない2)。今となっては随分と昔のことだから多くのことを忘れてしまった。ジェニファーとの愛でさえも。
 それでも、今でも彼の高笑いが僕の耳に時折響いてくる。勝者と、歯医者。
 結局のところ僕は歯医者ではなく、アメリカでのビジネス社会を退き、日本に戻った。そして、精神科医を目指した…。
 ということは、お前が花見英明なのか…?

1) http://dynamic.wp.xdomain.jp/integrity/bezos/ (閲覧2021.8.6)
2) https://ja.mehvaccasestudies.com/what-is-jeff-bezoss-religion (閲覧2021.8.6)

 
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