No.2055

題名:黄金のカルテット
報告者:ダレナン

 本報告書は、基本的に No.2054の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 僕:「大いなる代償…」
 エナイさん:「はい、その通りです」、「秘密倶楽部・にゃんこたろう?であなたが召し上がった”またたびシュ”、お寿司、そして赤からうどんの代金代わりとして、{りどる様に自分のすべてを捧げる}なる文言に対し、そこにミチオ様のサインが確認できます」
 そうしてメガミ・エナイさんはあの時の領収書をとりだした。確かにそこに僕のサインが見て取れた。でも、それは…りどるのおごりじゃなかったのか? おごりじゃなかったのか?
 エナイさんは僕のその心理を察してか、若干声を荒げてこう言った。
 「一言よろしいでしょうか」
 「あなたは曾祖父の代から恵まれた環境に育ち、なに不住なく暮らせてきた」、「それは一部、祖母トミヨさんのおかげでもあるとは思います」
 「でも、通常ではありえないことです」、「普通は、汗水流して、嫌なこと、つまらないこと、あるいは腹立たしいことにも取り組み、そうしてその対価がようやく得られるのです」、「いい、わるいば別に、です」
 「あなたには、その経験が全くない」、「祖母が死んだ、子ネコが死んだ…」、「そんな逃げたおごりで、あなたは床に伏した」、「そして、何年も無駄に過ごした」
 「それでも、今のあなたは、私から見れば平然としている」
 「わたくしは、病気により目が見えなくなり、この先、真っ暗闇な時期を過ごしたことがあります」、「世界から完全に光が奪われました」、「だから、わたくしは、一時は死ぬことも考えました」、「まったく先の光が見えないからです」、「布団にもぐっても、もぐらなくても、もぐらのような毎日を過ごしていました」
 「そんな中、出逢ったのが、りどる様です」
 「りどる様がわたくしに手をかざし、{そんなこと、きにしなくていいにゃん}と言ってくださいました」、「その時、わたくしは、以前よりもまばゆい光を目の奥に感じました」、「その光。そう、わたくしは、りどる様によって救われたことを感じた瞬間です」
 「そして、りどる様から呪術も授かり、わたくしはそれに磨きをかけることを決心しました」
 「それが、カバラです。カバラの秘術です」
 「その秘術によって、わたくしの人生は生まれ変わりました」、「それから、わたくしは、りどる様に生涯お仕えする身となりました」
 エナイさんが告げているバックでは、John ColtraneのA Love Supreme(図)がジョン・コルトレーンの黄金のカルテットによって、完膚なきまでに演奏されていた。

図 A Love Supreme1)

1) https://www.youtube.com/watch?v=clC6cgoh1sU (閲覧2021.6.11)

 
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