No.2037

題名:世界(モンド)をセレクション(精選)
報告者:ダレナン

 本報告書は、基本的に No.2036の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 フライトから5時間ほど経過し、随分と疲れていたのか…。あの後2(V)度寝はそれを意味していたのか。それともその疲れは、僕の人生でいままでフライトしたことがあったのだろうか…と思いつつ、僕は心の底でそのことを反省したことによって、実はその反省が堰切ったものだったのかもしれないと感傷に浸った。
 僕は、本当に、生まれて別荘で何もせずに過ごして、祖母のおかげで今日まで過ごしてきた。そして、何かを探す旅路は、祖母とリトルを失ってから僕自身で決断した旅路は、今回が初めてだったともいえる。
 それは祖母の面影を探す旅路である、同時に、リトルの面影を葬る旅路でもある。
 少なくとも祖母トミヨは、フライトではなく当時は船だったが、若い頃に曾祖父に連れられてはであったものの、その時代にしては珍しく女性で東欧に赴き、祖父ヤナチェクと出逢い、そして父イサクをかの地で産んでいる。そんな度胸が、僕にはあるのだろうか?
 いやない。僕にはない。そんな問答をしながら、モンドしていた。恥ずかしぐらいに唾液がまとわりつく口元をぬぐいながら、wifiで世界(モンド)をセレクション(精選)すっと、僕はある一つの事実に目を見張った。
 僕の大好きなアーチストのHarold Buddが、あのウイルスの合併症のために、2020年12月8日に84歳で逝去していた1)。本当にそのことを今まで知らなかった。飛行機内でたまたま課金してみたwifi接続によってその事実に初めて気づいた。
 時間は戻らない。
 Haroldも戻らない。
 時間は、決して逆転することはない。Haroldも、決して生き返らない。
 僕はすぐさま彼の遺作であるHarold Budd, Robin Guthrie • Another Flower(図)をAmazonで購入し、後でBandcampの方が随分と安かったことを後悔し、結局Amazonのダウンロードにて、Amazon Musicには返品が効かないことで、その音色に効き・酔いしれ、そして泣いた。聞くだけならYoutubeでもええやんと、Youtubeならただやん、と。口と目から液体がこぼれ、機内の周りの人は寝ているのを知りながら、たらしにたらした。液体がどんどんと溢れ、留まらなかった。なんでAmazonとBandcampでこれほどまでに価格が異なるのだろうか…。なぜにYoutubeでフルのアルバムが効けるのだろうか…。と。そのわずかな、それでも大きな違いに、天国のHaroldも苦笑いしているだろうか。でも、買ったよ。Harold。価格の違いはあってもAmazonで結局、僕はポチったんだよ。あなたのその才能を買いたいがために。そう、ここで告れば、ずっと僕は、Harold Buddさんのその孤高なその崇高な音楽性に、心底ずっとあこがれていたんだよ。

図 Another Flower2)

1) https://www.udiscovermusic.jp/news/harold-budd-dies-84 (閲覧2021.5.14)
2) https://www.amazon.co.jp/Another-Flower-Robin-Harold-Guthrie/dp/B08N3JM4XW (閲覧2021.5.14)

 
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