No.2002

題名:はてにゃん?
報告者:ダレナン

 本報告書は、基本的に No.2001の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 わたしはスマホをじっと見つめていた。操作すると、「イコライザー2」がおすすめとしてタイミングよく現れた。「よし、ボタンを押そう」としたその時、再びプレーヤーが動きだした。スマホでなく、祖母のTHORENSのプレーヤーが。しかも自動的に。そして、レコード盤に針が落ちると、音楽ではなく不思議と祖母の声がスピーカーから流れた。そのスピーカーもよく見ると、”ただの”ものではなかった。”ひとし”ゅじなわではいかない感じがした=ただの・ひとし。
 スピーカーを見回すと、それはTANNOY Westminster Royalという銘柄であった。38cm同軸型ユニットには、英国タンノイ社最高級モデルを象徴する金色の紋章がデザインされていた1)。

「「君に、できないことはない。どんなことも、君ならできるとして、神がその試練を君に与えているんだ。きっと乗り越えられる。大丈夫。きっとトミヨなら、必ず乗り越えられる」。それが、祖父ヤナチェクから教えてもらった言葉なの」。
 父イサクを抱きかかえて、港で祖母トミヨと祖父ヤナチェクは抱き合った。そして、
「これからどんなことがあろうとも、君を遠くから守ってみせる。彼はその時、そう言ってくれた…のよ」。
 祖父は、堅い意志を持って祖母にそう伝えたようだった。そこでプレーヤーは動きがぴたりと止まった。
 スピーカーからは一切の音が聞こえず、あたりはシーンと静まり返った。それに反して、わたしの頭の中がざわついていた。
(祖父ヤナチェク・トーベ・ブロンスキーのその後の足取りをたどってほしいの…。ミチオ、わたくしからのお願い)
 庭の向こうに見える茶室には、今まさに神々しい光の筋の中にかつての祖母トミヨの姿が見えた気がした(図)。それと同時に、祖母からのお願いの言霊が頭の中から響いてきた。
 そして、わたしは「イコライザー2」を見るのをあきらめた。

りどる:「あれっ、あきらめたにゃん」
僕:「賭けてみる?って、見るってことに賭けたのに、なんでだ?」
りどる:「でも、みないみたいだから、かけは、ちみのまけにゃん」
僕:「そうだな…。でも、何でだろうか? 見ないのか、わたしくんは…」
りどる:「はてにゃん?」

 なぜなら、「イコライザー2」は課金しないと見られない、からだ。

図 光の筋2)

1) https://audio-heritage.jp/TANNOY/speaker/westminster.html (閲覧2021.3.22)
2) https://www.pinterest.jp/pin/662310688950851103/ (閲覧2021.3.22)

 
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