No.199

題名:人工知能と遺伝子操作との間をつなぐ存在
報告者:ナンカイン

 現在の人工知能の発達には目を見張るものがあり、現時点でも驚くほど発展している。その発展は、人類(人工知能の研究者でなく、あくまでも普通に暮らしている人々)の予測をはるかに超えるものがある。No.129やNo.163に示すように、人工知能が一旦Techonological Singularity(技術的特異点)を超えてしまえば、今度は大多数の人類にとって、人工知能が脅威どころか、それがどのように発展しているのかを、理解することさえ不可能に陥る危機もある1, 2)。そうなってしまえば、実は、人工知能に対して脅威を抱くどころか、驚異であったことすらの考えが及ばなくなり、そのテクノロジーが当たり前の日常となることもありうる。いずれにせよ、人工知能が人類に対して反乱さえ起こすようなことがなければ、今後の人類にとって人工知能はプラスとなるであろう。繰り返すが、人工知能が人類に対して反乱さえ起こさなければ、である。
 その人工知能の発展の一方で、人類に備わる遺伝子を直接操作する遺伝子工学も、現在では驚くほど発達した。その遺伝子の発見に大きく貢献したのは、1953年のジェームズ・ワトソンとフランシス・クリックによるDNAのニ重らせん構造のモデルの発表であるが、それからの進歩が著しく、現在では人とサルの遺伝子を組み替えるような研究まで行われている3)。その融合の名目上は、今は人類の遺伝的な障害の解明と解決ではあるが、遺伝子を一旦変更してしまうと、その後にその生物にどのような変化が起きるのかは、まったく予測ができない。やがて、それが、障害の解明ではなく、別の生物へと発達する可能性も十分にありうる。実は、人工知能よりも、発達過程で制御(予測)できなくなるのは、むしろこちらの方が確率が高い。遺伝子工学が倫理的に常に問われるのは、このためでもある。
 これらを総合すると、やがて人工知能、あるいは、遺伝子操作がすべてを変えるような印象さえある。しかしながら、最も驚異的なのは、人工知能を利用しつつ、遺伝子操作を利用しつつ、これらを併せ持つ何かが生じた時である。スマートフォンのOSであるアンドロイドは、あくまで機械的な側面の発展であるが、ロボットには、生体と機械とを融合した存在があり、それがヒューマノイド、あるいは、サイボーグと呼ばれるものである。今はまだSFの世界を中心として話題ではあるが、人工知能と遺伝子操作の両方をうまく組み合わせるような技術者、あるいは、研究者が続出するようになれば、どこまでが機械で、どこまでが生体かが分からないような存在が、この地球上に生まれるかもしれない。街中で偶然(必然)に出会い(No.188)、その相手に恋したとしても、実はヒューマノイド、あるいは、サイボーグだったとしたら、どう思う(想う)のであろうか。あるいは、どう思えば(想えば)いいのであろうか。SNSで全く面識のない人と恋に落ちるよりも、やっかいな問題である。気がつくと、地球上に真の生命体として存在していたのは、自分一人だけであったと、まさにSF的な話もいずれはあったりするのであろうか。筆者のロボットのイメージは図のままであるが…。

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図 ロボットのイメージ4)

1) http://www.alphr.com/science/1002792/artificial-intelligence-ten-things-you-need-to-understand (閲覧2016.2.26)
2) http://gigazine.net/news/20160226-artificial-intelligence-ten-things/ (閲覧2016.2.26)
3) http://jp.wsj.com/articles/SB10519349150193173538704581501593659366736 (閲覧2016.2.26)
4) http://www.irasutoya.com/2012/12/blog-post_6178.html (閲覧2016.2.26)

 
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