No.1952

題名:恋マヨネーズ
報告者:ダレナン

 本報告書は、基本的に No.1951の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 いつものよう自転車で、お決まりのスーパーに買い出しに出かけた。今日はいつもよりも早い時間だったためか、以前のようにクミちゃんの面影を思い起させるような自電車乗りの人は見かけなかった。だから、スーパーの横に銭湯があろうとも、僕の今日は、浴場することがなかった。ないだろう…。
 今日の買い物の一番はマヨネーズだ。昨晩の出来事でやはりマヨネーズは常備しないといけない、そのことがよくわかった。昨晩、シズコは、「いいよ」、と応えたものの、やはり僕自身のその在庫確認の怠りに堪えていた。僕は、いつでも、確実に予備をカウントし、シズコのお気に入りを欠かせることがなかったからだ。
 昨晩のエイヒレの相棒のマヨネーズの件は、やはり迂闊だった。その迂闊さが、そのわずかな心なき不注意が、平穏な日々に亀裂をもたらす。そのことはよく過去の経験からとても理解していた。だからこそ、昨晩起こったマヨネーズ事件は、僕にとっても、たぶんシズコにとっても、何かを変えうる危うい、険を孕んでいた。場合によっては、時と場合によっては、剣でぶさっとさされてもおかしくはない。
 (なんで、マヨネーズがないのよ(怒))
 スーパーでマヨネーズを吟味していると、他の誰かがその一角にやって来た。その彼女、主婦と思しきその彼女もマヨネーズを吟味していた。カロリーオフがいいのか、それとも、濃いタイプがいいのか。その時、彼女は濃いタイプを選び、僕も偶然に濃いタイプに手を伸ばした。濃いから、恋に発展しそうなその境遇に、お互い顔を見合わせながら、「どうぞ」と輪唱した。
 そんなこんなで、若干僕は妙に頬を染めながら、買い物を終えた。先にレジをしていた彼女は、僕に向かって一礼をした。僕もありがとうと心で唱えながら彼女に礼をした。
 いろいろな人に、いろいろな人生の流れがある。そして、その中に生きるものとしての買い物がある。そう思えた時間帯だった。きっと恋マヨネーズを選んだ彼女も、恋が濃いに違いない。それは僕ではなくとも、マヨネーズを恋している相手が彼女の背後にいる。それも濃いで恋。そうだ。何だかそれに対して、幸せに思えた時間だった。それがマヨラーの宿命か…。彼女の背後にいるのは濃いマヨラーなのか…。
 買い物帰りに自転車にまたがると、ふと路地の奥に占い師が見えた。その占い師は、じっと僕の方を凝視している。僕の今日の買い物は生のものはなかった。定番のマヨネーズとするめ、ピルスナーウルケル、その他付け合わせのレタスとトマトぐらいだった。だから、肉類と違って腐らない。腐らない時間もある。じっと、僕を凝視しているその占い師に、僕の気持ちがかたかたと動揺し始めた。時間あるなら占ってみようかな…。
 かごめかごめ
  籠の中の鳥は
   いついつ出やる
 夜明けの晩に
  鶴と亀が滑った
   後ろの正面だあれ?
 そのカゴメに、カゴメケチャップではなくマヨネーズとしてふと後ろを振り向くと、その占い師が、そこに、いた。びっくりした僕をしり目に、「あなたを占わなければならないの….」、占い師はそう告げた。

 
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