No.1941

題名:絆
報告者:ダレナン

 本報告書は、基本的にNo.1940の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 (あなたのしあわせは、ぼくのしあわせ)

 僕にとって、光って何だろうか。それはあなたか、それとも、

 それは、走り続けるしか見えない光。

 そんなのは分かっている。僕も何とか脱線しながらここまで頑張ってきた。でも、僕の中の何かが壊れつつあった。僕には、僕には、何かが欠けている…。それはピース数の多いジグソーパスルの中で、どのピースが失われているのか分からない状態にも似ていた。
 何もかもが、何もかもが、分からなかった。

 Where’s My Love

 そうして、久しぶりに聞いたSYMLによって僕は、何かを、何かを、思い出そうとしていた。それは何なのかが分からなかった。でも、とめどなく涙があふれた。このMVには、琴線を触れる何かが、いつもあった。どうしようもなく僕の今の状態を示していた。
 そうだ。失われた絆だ。僕と彼女との間の失われた絆だった。どれだけCome Backと叫んでもそれは戻ってはこない。

 僕はどこにいったのだろうか。
 僕はあの時、どこにいったのだろうか。
 僕は、どこで、どこかで、何かを見失ったのだろうか。

 愛の絆なんて、簡単に崩れる。そして、簡単に消失する。消失していなくとも、消失する。それは、過ごした時間の重みだ。簡単に、簡単に、軽くなり、消失する。消失しないのに、簡単に消失する。それでも、僕はわずかばかりの重みに頼って、反芻する。それは自分の生きる証だからだ。
 クミちゃんに逢いたかった。でも、逢えなかった。逢いたくなかった。それが僕なんだ。”ワカモト・オスカル”がどう成長しようとも、今の僕には何もなくなっていた。

 僕がほしいのは、クミちゃんとの絆だった。同時に、シズコとの絆だった。

 それが、”オスカル”なのか。”ワカモト・オスカル”なのか。それとも別の何かなのか。
 心の結びつきなんて、絆なんて、いとも簡単に崩れていた。今の僕の心が崩れるように。

 
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