No.1926

題名:ブリキの太鼓
報告者:ダレナン

 本報告書は、基本的にNo.1925の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

「ねぇ、シズコ。シズコって、ワカモト・クミちゃんと以前一緒に働いてたんだよね」
「そうだけど。また彼女と浮気したいわけ?」
「いや、そうじゃないんだけど。シズコは、クミちゃんの居場所って知ってるのかな~と思ってさ」
「知っているよ。もちろん」
「もちろん?」
「そうだよ、クミとは姉妹みたいなもんだから、今でも連絡とってるよ。知らなかった? ダリオくんの浮気は、クミから直接聞いたもん」
「直接?」
「そうなの。最初、クミから好きな人がいるって聞いて、喜んでいたんだ。でも、次第にそれが、ダリオくんだと分かって、ちょっとshitとした。いや、嫉妬した。で…ね」
「で…?」
「それを聞いて、密かに計画したの。クミと合意で。ダリオくんを愛ってね」
「めぐって….?」
「ほら、クミもそうだけど、わたしって一人っ子じゃない。で、二人とも境遇も考え方もなんだか似ていて、わたしたち、本当の姉妹として提携することにしたんだ。たぶんお互い似ているから、きっとダリオくんは、クミにも本気になる。だから、いっそのこと、ダリオくんの子どもを作る?って。わたしから提案したの。ほら、わたしたちの間には結局、子どもが出来そうにないから…。わたしね、実はダリオくんに内緒で、そのこと結構、悩んでたのよ。わたしって何かおかしいのかな…って。そのこと、知らないと思うけど。わたし、ダリオくんのことが好きなのに…」
「子どもができない、の?」
「うん。それでダリオくんに内緒で、なんどか不妊治療に何度か通った。けど、どうやら…、まっ、いいかその話は。そのことは。で、諦めてた時に、クミからダリオくんとの告白を聞いた時、shitしつつ、チャンスと思ったの。そうね。まっ、単純に言ってみれば、わたしが、ダリオくんの妻でありつつも、クミはダリオくんのお母さん、っていうわけ」
「お母さん…。えっ、どういうこと」
「クミには今、子どもがいるのよ。生まれてちょうど5か月ぐらい。もちろん、その子は、ダリオくんの、こ・ど・も・よ」
「僕の、こども…???」
「そう」
「そうなの…、僕の、こども…なの?」
 そうして、妻はスマホ画面を向けて僕に一枚の写真を見せた。そこには、クミちゃんと妻シズコ、その間に男の子と思しき、子どもが写っていた。その子どもの首からはカレイになるとの如く、ブリキの太鼓がぶら下がっていた。彼の首から、きらきらと輝くブリキの太鼓…が写っていた。

 
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