No.1921

題名:イカとカニ
報告者:ダレナン

 本報告書は、基本的にNo.1920の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 シズコに缶のハイネケンを渡してから、一向にしゃっくりが止まらなかった。飲みすぎたせいなのか、それとも…の理由が分からなかった。冷たい雨の中、コンビニにハイネケンを買いに行ったせいもあるのだろうか。とにもかくにも、しゃっくりが止まらなかった。それは、僕の心の本音の声だったのだろうか。
 ふと休日にも関わらず、仕事のメールが舞い込んでいたことにも築いた。もう、どうでもいい。もう。僕はオワコンなんだ。興味がないんだ。腐った仕事の築きには。そんな築きに、興味の気づきもなかった。
 仕事が変わったにも関わらず、どこでも、あれしろ、これしろ、と僕に命令が下る。そんなのは、銅じゃなくてもいいんだろ。僕じゃなくとも、金か銀の人がやるだろう。やってくれるはずだよね。銅の僕が、何でそれしなきゃいけないの、と、うざったかった。本当に、うざったくてしょうがない。
 一方で、僕には才能のかけらもない。だから、人から、あれしろ、これしろ、と言われ続ける。それに従う。従わざるを得ない。才能って、努力でなんとなったんじゃないの、と、過去の、過去の文献1)を紐あさる。そして、ここで、それを交えて本音でイオウ。硫黄の温泉が、湧き出ているかの如く、ここで、本音で言いたい。
 どんなに描き続けても、ここに書かれている文章は、銅以下のクソやで。そんな缶だ。まさに新神保町。
 うんこ。クソや。真膨張や。
 いや、そんなに、自分を卑劣戦でもええがな。卑劣な戦やで。ほんまに。
 クソや。めっちゃ、クソや。ゴミイカや。
 ゴミイカ。そんなイカおれへんで。
 じゃ、いったるか、スルメイカならどうや?
 確かに、スルメイカはおるで。タシカニ。
 じゃあ、あえて、ここで、カニを足すんか?
 足しカニ。確かに。そうもできるかもな。
 じゃあ、カニっていったら、一番は何や?
 分からん。タラバか。
 タラバか?
 タラれば、足らへんか?
 そうかもしれへん。
 イカとカニ…。
 おー、めっちゃ最高の組み合わせやんか。イタリアンには欠かせられへんで(合同の合いの手)。

 そのことを、僕は、シズコにしゃっくりしながらも朴訥と話した。しかし、何も響かなかった。何だかうるさいな、そんな雰囲気も醸し出していた。そうして、シズコは相(愛?)も変わらず、TVを見ながら、明らかにそっちに意識がある。僕の話なんて、聞いてもいない。こんなもんなのか。こんなもんだろうか。

1) アンドリアセン, NC: 天才の脳科学 -創造性はいかに創られるか-. 青土社. 2007.

 
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