No.1899

題名:記憶がまざまざと
報告者:ダレナン

 本報告書は、基本的にNo.1898の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 写真を手掛かりにいくつかの場所を回ってみた。もちろん「湯の花まんじゅう」の看板のある付近も探し回った。どこにもシズコの影は見当たらなかった。それよりも、回れば回るほど妙なフラッシュバックが襲ってきた。ここに、クミちゃんと来たことがある。ここにもクミちゃんと来たことがある。そして、僕はある旅館の前を横切った時、強烈なイメージが見えた。
 僕は、今、クミちゃんと抱き合っている。
 どういうことなんだろう…。どういうことなんだ…。
「しょうゆう、ことなんだ」
 目の前にあのヒヨコが居た。名札にくっくどぅーどるどぅと書かれているあのヒヨコだ。僕自身かもしれない、くっくどぅーどるどぅ。
「しょうゆうことなんだ。ぼきゅは、くみしゃんにむちゅう。きおくがけちゅらく」
「欠落?」
「しょう、けちゅらく」
「覚えていないってこと?」
「しょう。くみしゃんときょきょにきたことに。ひとばん、いやみっきゃ、くみしゃんと、しゅごしたことに」
「一晩三日過ごした?」
「しょう、ぼきゅは、くみしゃんにむちゅう。くみしゃんとからじゃをいっぱいかさねたんだ。ようは、ねたんだよ。しじゅこしゃんがきえちゃのも、むりはない。ぼきゅは、くみしゃんにむちゅうで、ねたんだから」
「でも、僕は確かお店でクミちゃんと温泉地に行く約束をした次の日の朝に、クミちゃんとシズコが消えていたんじゃなかったのか。そういうストーリーだったんじゃないのか?」
「ぢゃから、きおくがけちゅらくしていたんだよ。ぼきゅのきおくが、ろしゅとしていたんだよ。ふぁっきゅ」
 確かに、そこを覗くと、Anastasia YudenkovaとしてPHELIANはそこでFUCK YOUしていた。
「Lost…、そして、Fuck you…」

 僕は、あの日の夜の奇妙な夢を再び思い出していた。
「打て、打つんだ。くっくどぅーどるどぅ」
「うてにゃい」
「打て、打つんだ」バシバシ。
 こけこっこーのニワトリは、くっくどぅーどるどぅのヒヨコをビンタした。バシバシ、バシバシ。何度も往復でビンタした。
「そうだ、浮かれてた。あの次の日に、朝から仕事で大失態をやらかした僕は、サメジマさんに「タケヒサー、お前ってやつは」ってものすごい形相で、僕は、何度も何度も叩かれて記憶をなくしたんだ。その後、僕は何かから逃げるように、受付のクミちゃんの手を握って、会社から逃げるようにクミちゃんを連れだって伊香保温泉に行ったんだ。その記憶がまざまざと蘇っていた。

 
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