No.1886

題名:「貴様。それでも軍人か」
報告者:ダレナン

 本報告書は、基本的にNo.1885の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 僕はできるだけ昨晩見た夢を思い出すように反芻した。しかし、もはや詳細には覚えてはいない。でも、シズコが消えた理由は、そこにある。そう信じて、昨日の夢を思い出すように努めた。ただ、何度も反芻しようとも、思ったよりも夢の中の細かいことが思い出せない。
 さっき見た事実として、家の奥に現れたそのヒヨコは、シズコを殺した、そう告げた。“くっくどぅーどるどぅ”がそう告げた。
 シズコがいない中、僕は何とか自分の意識を保ちつつ、布団に入り眠りについた。でも、なかなか寝付かれなかった。妻シズコのことを思い浮かびつつ、同時にクミちゃんのことも思い浮かんだ。もし、二人とも永遠に逢えなかったら、どうなるんだろうか。
 妻とのLINEは、今もまったく通じない。確認しても、既読はなかった。妻は殺されたのか? 妻シズコは、あのヒヨコに本当に殺されたのか?
 僕は自分に今しがた起こった出来事に対して、まったく理解ができなかった。
 あのヒヨコのせいだ。だから、あのヒヨコのせいで、僕は二人に連絡が取れないんだ。

 一方で、LINEという手段でなくても、僕たちの間には何かしらの連絡方法があったんじゃないのか。そこにおいて、僕の世界は彼女らの世界に、お互いに同調していたんじゃないのか。そう思えた。でも、今は、明らかに、一方通行だった。発信している僕に対して、二人は受信していないし、二人だけでなく、今や誰も答えていない。僕は、限りなく独りぼっちだった。Scarp(急斜面)を降りるがの如く、僕は足を滑らせている感じがした。

 二人…?
 二人…?
 二人…?

ぼきゅがやったんだ。
しじゅこしゃんは、ぼきゅが、ころしゅたんだ。

「貴様。それでも軍人か」

ばきゅんと、ころしゅたんだ。

「貴様。それでも軍人か」

だきゃら、ぼきゅが、ころしゅたんだ。

 
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