No.1874

題名:可もなく不可もなく
報告者:ダレナン

 本報告書は、基本的にNo.1873の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 ここで僕は、看護師さんに聞く。「ダリオ・アルジェントの代表作を述べよ」。と、突撃したいところではあった。かといって、僕のオヤジが好きだった映画監督なんて僕自身は、それほど全く興味はない。でも、あえて言うならば、僕、ダリオ、という妙な名前で過去に傷ついたことは多々あった。ダリオ…だりそれ…とか、だりー…体だりー、とか。変な名前。だから、僕は、過去の、そんな自分の過去を踏まえて、あえて彼女には追求しなかった。この天使のような新人さんに、「では、ダリオ・アルジェント監督の代表作を述べなさい」と言えなかった。彼女も答えが言えないことで、きっと傷つくということが予想できたからだ。
 いやー、僕は至って心優しい人だな。人の心をかき乱すことはしない善良な市民だな。
 そうして、僕は彼女にそれを言わなかった。が、実は、喉元までそれが出かかっていた…。
 言いたかった? 本当は言いたかったの?
 ふと「あなたって、本当に人の気持ちが分からない人ね」と妻にそう言われた気がした。そら耳だろうか。タモリ倶楽部のように。
「ふぇんななまえだよね。しょうなんだ。これでけっきょう、むかしはいじゅめられちゃんだ…」
「へぇ、そうなんですね…。それは大変でしたね」
 新人さんは、その意味のないたわいもない会話でも、終始にこやかな笑みを浮かべていた。(いい人だ。将来はたぶん立派な看護師さんになる)。僕は密かに確信した。
 誰でも、どんな人でも、ある時期は新人である。それが変わるか、変わらないかは、その人の心構えによって幾分にもチェンジすることが出来る。ただ、心構えって難しい。それがなければ、チェンジできない。ギアーチェンジ。今の時代ならオートマティック。宇多田ヒカル。1998年12月9日発売。そういうことだ。随分と前だな。
 同じカレーを作っても、うまい日もあれば、そうでない日もある。この前作ったカレーの味のことを思い出した。妻は食べるなりこういった。
 「可もなく不可もなく。そんな味ね」。いざというチャレンジは、必ずしもチェンジには結びつかない。今の時代ならオートマティック。可もなく不可もなく。そういう日常が続いて、気がつくと、決してその人は気がつかないが、ある時境にDead Man。Walkingしたいも、死体はしたいと欲求のみが発情し、死体はエサを求める。そういうことだろうな。どういうことなんだろうか? 自分でもわからなくなってきた。クミンを入れ過ぎたせいだろうか。頭にスマホをコネクトし、更新を試みた。「中世のヨーロッパでは、クミンは男女間の貞操を象徴するものと考えられていました。恋人の心変わりを防ぐものと信じられ、結婚式の際にはポケットの中にクミンを忍ばせて臨む風習があったとか。この風習は、神秘的な芳香を持つクミンを上手に使って料理をできるような花嫁は、夫を確実に身近に引きとめ、浮気させない腕前を持っていることを意味する一方、花婿の方は、妻の貞操を信じ、自らも浮気をしないで十分な量のクミンと食材を家に持ち帰るくらい妻に忠実でなくてはならないという意味が含まれていた」1)。この更新は実に、ストローな気分を思い起こさせた。

1) https://www.sbfoods.co.jp/sbsoken/jiten/search/detail/00012.html (閲覧2020.11.1)

 
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