No.1862

題名:間違いありません
報告者:ダレナン

 本報告書は、基本的にNo.1861の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 検察官の起訴状朗読に移る。起訴状によると、百智被告はKちゃんについて、宇宙服に繋がっている生命の源である液体化された香料メランジの管を抜き、殺害。さらには、静かの海にてKちゃんの遺体を月の表面に埋め遺棄したとされている。
 検察官が起訴状を読み上げる間、百智被告は正面を向きながら、ゆっくりと首を右に傾け始めた。しばらくすると、肩甲骨を寄せるように腕を後ろに持ち上げ、ゆっくりと元の姿勢に戻った。じっとしていられないのか、今度は左足に重心を置いて首を左に傾け、しばらくして戻した。
 検察官が残忍な犯行状況を記載した起訴状を読み上げているにもかかわらず、百智被告に緊張感は伺えない。被告のこうしたもぞもぞとした動作は、検察官が読み上げる約10分間の間に3回程度、繰り返された。そんな被告の様子を、裁判官らはじっと見つめていた。

Moon Town最高裁判長:「起訴状の事実に間違っている点や、あなたの言い分はありますか」

百智被告「起訴状の通り、間違いありません」

Moon Town最高裁判長:「Kちゃんの殺ラクダおよび死体遺棄の2個の事実に、間違いありませんか」

百智被告「間違いありません」

 続いて、検察官からは地球における百智被告の経歴などが語られた。
 10歳にしてKちゃんと出逢い、意気投合、そして月の世界への旅行を計画したこと。百智被告が20歳の時に、当時のCOEであるスペースZ社のイーロン・ナーシ氏の同意の元、Moon Town計画として月へと旅立ったこと。月の砂漠で歩いているうちに、Kちゃんが隕石にあたり死亡したかのように感じ、月の土の中に葬ったこと。その後、百智被告は平然として地球に帰還したこと。ただし、なぜか200年後に月の世界に残っていたこと。Kちゃんを葬ったことで、想像と創造をも葬ったこと。Kちゃんとの間で取り交わされた殺ラクダの罪は、互いの暗黙の了解やったこと。などなどが述べられた。

Moon Town最高裁判長:「Kちゃんのそれらの事実について、間違いありませんか」

百智被告「間違いありません」

注:先の「Kちゃんについて」と同じく、法廷内の記述は筆者の得意としない場面である。ゆえに、前半は次のURLを参考に記述したことをお許し願いたい。参考: https://www.sankei.com/affairs/news/200930/afr2009300018-n1.html (閲覧2020.10.23)

 
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