No.1854

題名:永遠に死に続ける
報告者:ダレナン

 本報告書は、基本的にNo.1853の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 その動物は、僕が愛したあのラクダのこぶちゃんに間違いなかった。やっぱりこぶちゃんスペシャルの宇宙服に身を包んだその動物は、ラクダで、こぶちゃんだった。でも、僕が知っているこぶちゃんと違って、随分と変わってしまっていた。生気がなく、うつろな目元で僕を見た瞬間、一瞬、昔のあの生気溢れるこぶちゃんに戻った気がしたが、その後再びうつろな目をしていた。エサをあげても、死霊のように果てしなくぼんやりとしている。
 もはや飼料は意味をなしていなかった。もぐもぐと単純に口を動かすこぶちゃん。ンゴォォ…とか細く鳴く。

「ンゴォォ…」

 こぶちゃんを埋める前に、葬った後に、僕はいったい何を夢見たのだろうか。
 ぴっくっと動いているこぶちゃん。
 瀕死のこぶちゃん。そして、僕の成長は止まった。

 僕は無意識に管に手を伸ばした。そして、それを引っ張り、宇宙服から抜いた。ぶゅーっと音がして液体化した香料メランジがあたり一面に飛び散った。

ツキオ:「ノブヨシくん。なにやっとんのや」

 ツキオが止めに入った。僕はぼっとーしたまま管を握りしめていた。あたりに散らばり続ける液体化された香料メランジ。

僕:「あはっ、あはっ、あははははは…」

笑いが止まらなかった。もう僕にはCreateなんてないんだ。想像も創造もまったくないんだ。

ツキオ:「殺ラクダ罪や。君は、殺ラクダ罪や」

 液体化された香料メランジに浸っていないこぶちゃんは、その体が次第に縮みはじめ、急に老化が進んだ。そして、どろどろと体が溶け始めた。
 永遠に生き続ける。でも、これからもう、こぶちゃんは、永遠に死に続ける。
 安心して。僕が葬ったから。
 死が永遠を分かつその時まで、僕も永遠に死に続ける。
 永遠に…。

 
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