No.1851

題名:順路に従って
報告者:ダレナン

 本報告書は、基本的にNo.1850の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 んごぉーと鳴いとるで~。その言い方は物まねではあったものの、こぶちゃんの鳴き方に間違いなかった。つまりはこうだ。香料メランジが付着した僕がこぶちゃんを埋めた時に使ったスコップ、幸運のスコップだけでなく、こぶちゃん自身もフランコ・ハバド氏の手に渡ってしまっていた、のだ。
 落胆している僕を見て、ツキオは「君はな。実は、こぶちゃんを埋葬することで、Createを葬った。すなわち、今や何も残っちゃいない。そういうこっちゃ…。だが…、実はな…。まっ、これ以降は、順路を進めば分かるやろな。じゃけん、ここで今いわんでも…、ええか…」と邪険に突っぱねた。

(いわんでも、ばか。いわん、ばか。あほ、ノブヨシ、だの~)

 ツキオの発言に対して3Dホログラフィのハバド氏は、そういっているようにも思えた。僕はかなりナーバスになっていた。

 想像と創造のかけらもなく発想はすでに貧困で、Creatorとしての希望も失われ、更新しても地球からのメッセージは何も届かなかった。
 そうして、ある物事を考えることをあきらめた更新できない僕は、自ら考えることなく、他人の考えに僕自身も埋没することに甘んじていた。
 あのひたむきなまでに熱中し、情熱を傾けていた何かを、こぶちゃんとともに過ごしたあの大事な期間を振り返ることなく、簡単に葬り去っていた。
(賢い大人は、結局、何事も成し得ないのだ。愚直に信じるところを貫いて働く者だけが世界を変えるのだ。出口治明氏推薦文より1))

(この推薦文。いわんのばか、の、だの~。あほ、ノブヨシ)

 再び3Dホログラフィのハバド氏を見ると、にやりと微笑んでいる。僕の体は硬直し、かしこまっていた。

ツキオ:「さっ、かしこ(い)まったノブヨシくん。順路に従って、次に進むかぁー」

 相当にぼーっとしていただろう僕に向かってツキオは吠えた。月に吠える。何だかそういうのも思い出した。誰かの詩集。でも、それが誰だか思い出せなかった。それからというもの、順路を前進しようとしても、僕はなかなか足が運ばなかった。一歩進んではぶーたれ、一歩進んではぶーたれ、ある年齢を過ぎるとやたらぶーたれる。そこには素直になれない、想像と創造のかけらもない自分がいた。

1) https://www.anonima-studio.com/books/picture_book/iwannobaka/ (閲覧2020.10.14)

 
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