No.1845

題名:ハイパーループ・カプセル
報告者:ダレナン

 本報告書は、基本的にNo.1844の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 見つめ合っていた二人はやがて僕の方に振り向くと、こっちこっちと僕を手招きした。手招きした位置まで歩くと、地面の上に、くるくるとループした無限大のような記号が書かれていた。キーコさんは、そのループ記号を足で押した。すると、ドアのようなものが現れた。

キーコ:「さっ、ノブヨシさま。この中に入って」

 そうして、二人がドアの中に入るを見計らってから、僕もその中に入った。
 バタン、シュイーン。一瞬、あたりが暗くなり、ぐん…と体が揺れたかと思うと、下の方に降りているような感じがした。しばらくすると、周りが再び明るくなった。目の前には、大型のカプセルが見えた。近づくと、そのドアが開いた。中には、ソファーのような座り心地の良い椅子が見えた。

キーコ:「ハイパーループ・カプセルに乗りますね」

 ハイパーループ・カプセル…。どうやらそれは乗り物の一種のようであった。地球では見たことなかった。でも、その様子から、小型の個室地下鉄のようなものなのだろうか…。

「行き先はいかがいたしますか」 カプセル内でアナウンスが響き渡る。

ツキオ:「第1ドームの新新時代のノアの箱舟の館までいってちょーらい」

「承知しました」

 ヒュイーン。しずかに、少しも揺れることもなくカプセルは発射した。

「あと1時間ほどで到着となります。お飲み物はいかがいたしましょうか」

ツキオ:「そやな。Moon Townビアーがええな。どうや、ノブヨシくんもいっぱいどや」
僕:「はい、それでいいです」
ツキオ:「Moon Townビアー、うまいでー。きっとびっくりすると思うわ。そやそや、ノブヨシくんも前もって第1ドームのこと、少しは知っといたほうがええかもな」
キーコ:「そうね。えっとね、第1ドームは、第3ドームの100平方kmに比べて、面積は半分ほどなんだけど、月の世界で最も古いドームなの。だからちょっと老朽化が進んでいてね…、

 
pdfをダウンロードする


地底たる謎の研究室のサイトでも、テキスト版をご確認いただけます。ここをクリックすると記事の題名でサイト内を容易に検索できます。



...その他の研究報告書もどうぞ