No.1826

題名:かしこまりました
報告者:ダレナン

 本報告書は、基本的にNo.1825の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 よわいにして87の頃。地球に居るフランコ・ハバド氏は日に日に体の衰えを感じていた。ただ、かつてよりも眼光は鋭く、病床で臥せっていてもやたら喧騒を振りまいていた。側近でCreator将校のジュニ・ヴェルヌーブ氏から聞くMoon Townの現状に居ても経ってもいられず、檄を飛ばしていた。

ハバド氏:「なんやと。Moon Townが食糧難で、犯罪が起こっているだと。どういうこっちゃねん。あの、オドロクスキーくんが選定し、わしが送った、あの魂の戦士たちはいったいなにしとるねん」

ヴェルヌーブ氏:「魂の戦士の4人はすでにいい年齢となっております。ただいまは、すでに第2世代から生まれた第3世代の人口が激に増えつつありますが、どうやらそれで食料の需給が追いついていないようです。どういたしますか? 輸送にAmazonを利用しますか?」

ハバド氏:「いやいや、それやと月の世界の壮大な実験にならへんやろーがー。Moon Townの歴史は、わしの人生をかけたデューン計画の骨子や。各方面に働きかけて、輸送は制限してくれ」

ヴェルヌーブ氏:「承知しました」

「でも、なんとかせなあかんな…。まず警備員か…、じゃがいも工場の生産もアップさせなあかんな…。そうや、ええこと思いついた。それと、新たな血や。新たな血を月の世界に送り込むんや。地球の輩からテキトーに見繕った子種を送るんや。そうして、血をブレンドして、月の世界に新たな血を注ぐんや。素敵な実験になるでー、これは。Moon Townもこれで遺伝的レベルで根本からきっと変わるはずや。突然変異や。突然変異。突然変異が起こるでーしかし…。それとな、今、ふと、さらに、ええこと思いついた。病床におっても、わしは冴えとるで。あのジョーズ・パイソン博士のスーパーGのスーパーG改。新新時代のノアの箱舟で送ったスーパーGよりも強烈な、スーパーG改や。あれも大量にMoon Townに送るんや。第2世代といえども魂の戦士の血を受けついどる彼らなら、きっと、やりおる。そのスーパーG改で。この食糧難の困難を乗り越えてくれるでーきっと…。
ヴェルヌーブくん。頼んだで。ちみならやれる、ちみなら」

ヴェルヌーブ氏:「かしこまりました」

 その1週間後に立て続けにロケットが飛ばされた。第一弾は子種。第二弾はスーパーG改であった。もちろんMoon Townに向けてのロケットであった。ただ、あまりにも時間がない中、ヴェルヌーブ氏はその手腕でもって難なくその業務をこなしたものの、子種には執着の疫の象徴に相当するような明らかにテキトーなものも含まれていた。それは、ヴェルヌーブ氏も暗黙の了解の上での施行であった。

 
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