No.1818

題名:父がダミー
報告者:ダレナン

 本報告書は、基本的にNo.1817の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 死神にとりつかれた僕は、もはやイケメンではなかった。ブラピではなくなっていた。キーコと居る幸せが、僕をブラピなりに輝かせていたが、次第に迫る僕の劣等感で、耳元でキーッキーッキーッと音が聞こえた。
 恐怖、恐怖…、そして自分を呪った。
 真夜中の徘徊者となった僕は、その呪いが、キーコにも降りかけているかのようだった。

 やっぱり僕は、第3世代の呪われた特別の子。それが、僕が16歳になるまで知らなかった僕の暗黒の歴史だった。キーコと一緒に過ごすようになってから、忘れかけていた歴史を少しずつ思い出していた。

 第2世代から第3世代へと移り変わる中で、フランコ・ハバド氏はまたも実験を施した。地球の子種を月の世界に輸送して、配合させようという実験だった。月の世界の交配の秩序を保つために、そうして、新しい血を注がねばなるまい、それがハバド氏の実験の目的だった。
 ただ、この実験には人権と倫理の問題が付きまとう。そこで、かなりの極秘裏に進められた。
 もちろん僕には父と母がいた。でも、僕が16歳の時に、その父がダミーであること、それが地球の子種であったことに気づく瞬間があった。
 母が死の間際に告白してくれたのだ。それは重罪に値する母の最後のダイイング・メッセージであった。

「ツキオや、聞いておくれ。私にはもう時間がない。でも、このことはツキオに話さなければならない。そうずっと心に秘めていたの」

「ツキオの父さんはあそこにいる人じゃない。あの人はダミー。あなたの本当の父さんは地球にいる誰か。母さんは実験台としてその誰かの子種を植え付けられた。そうして生まれたのがあなた、ツキオなの」

「でもね、母さんはお前の父さんが誰だか分からなくても、ダミーにマインドを支配され、ずっと夫婦を装ってきた。母さんも気づかなかった。ある時、そう、あなたが15歳の時から、父さんなんか変じゃなかった」

「うん」

「その時、母さんもおかしいと思ったの。もし、父さんが第1世代の魂の戦士の血統なら、こんな変な症状になるはずがない。そこで、父さんの状態を調べてもらうついでに、血統のことについても密かに尋ねてみたの。主治医のデミッド・クロイハンバーグ先生に。案の定、やっぱりあなたの父さんは魂の戦士の血統にはまったく含まれていない血筋だったことが判明した。その時に、クロイハンバーグ先生は、私にハバド氏の極秘裏の実験について話してくれた。どうやら第3世代の何人かは、その計画によって生まれた子達だと。ツキオもその可能性が高いということを…」

 
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