No.1808

題名:真っ白なベッド
報告者:ダレナン

 本報告書は、基本的にNo.1807の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 その部屋に入ると異様な雰囲気に包まれた。ダオッコ博士の特別の秘密の部屋とでも言うべき魅力に満ち溢れ、部屋の中央には真っ白なベッド、そしてそれを囲むように奇妙な形状をした機器類。そこに目をこらすと、その機器類が何か呼吸をしているかのような奇妙な律動性をも感じられた。
 部屋の奥に進むにつれて、中央の真っ白いベッドが以前から用意されていたかのように、形状をくねくねと変化させ始めた。最終的に落ち着いたベッド形状は、まるでそこには、すでに僕が横たわっているかのよう。
 そう、これはたぶん僕だけのベッド…。

ダオッコ博士:「じゃぁね、ツキオくん、そこのベッドに横になってもらえるかしら…」

 そこでのダオッコ博士は平然な様相を装っていた。でも、その言いぶりから感じられる妙な空気感は、僕の野性的なカンゆえなのかは分からないものの、ダオッコ博士から微かな興奮性のある空気が漂っているようにも感じさせた。
 ただ、僕は、その僕のカンがあたっていようともいなくとも、ベッドに横たわると、もはや僕自身はあらゆる身をゆだねてもいいと思い始めていた。それは、SとMの世界のようかもしれない。
 キーコがいない世界は、どれだけ僕の精神がいたぶられようとも、僕の中にあるキーコへの魂は永遠に彷徨っている。だから、それをくぎ刺してくれれば、ドラキュラへの銀のくぎ刺しのように、僕の気持ちは安らぐ。安らぐのだ。だから、ダオッコ博士にお願いする。僕の血を限りなく吸ってほしいと…。
 ベッドに横たわると、やはり僕の体の形状にものの見事にフィットしたベッドになっていた。両手、両足が固定されつつも、その固定はこれから始まる自分の記憶の湖底を探るかのようにときめいた。湖底には黄金が眠っている。それは、キーコと過ごした思い出の時間。

ダオッコ博士:「これから先はツキオくんとキーコさんとのいろいろな出来事がツキオくんの記憶に基づいて再現される。その中で、ツキオくんは、他人に知られたくない、どうしても知ってほしくないことも、赤裸々になる。その覚悟はできているかと思うけど、もう一度確認したいの。それはそれでいいのね…?」

ツキオ:「はい。構いません。同意書に示されている通りです」

 この時、ダオッコ博士は、何となくにやりとしたような気がした。

ダオッコ博士:「ツキオくん。目を閉じながら、できる限りのキーコさんとの想い出、それを頭の中で反芻してもらってもいいかしら。些細なことでも構わないわ。出逢った時から、失った時までのすべての期間。すべての期間でのツキオくんの記憶。もし途中、眠くなったらそのまま寝ても構わない。その時点までに、すでに記憶のキーが見つかれば、ツキオくんの状態がどうであれ、そのキーでうまくデータ化できる。私ならね…」

 
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